日本の農業は高齢化や人手不足の問題に直面しており、農業ロボットやスマート農業という言葉をよく耳にするようになりました。
特に中小規模の農家では、機械化・自動化が進みにくいという課題があります。
その一方で、農業ロボットやAI技術の発展により、新しい解決策が生まれつつあります。
今回は、**中小規模農家でも導入しやすい農業ロボット「Amiga」**を紹介し、日本の農業にどのような影響を与えるのかを考えます。
目次[]
日本の農業と自動化の必要性
現在、日本の農業は次のような問題を抱えています。

日本の農業が直面する問題
- 高齢化と労働力不足
- 農業従事者の平均年齢は約67歳(2023年時点)で、後継者不足が深刻。
- 若者の就農が進まず、人手不足が常態化している。
- コスト負担と機械化の壁
- トラクターや収穫機などの農機具は高価で、中小農家には初期投資が負担となる。
- 小規模農地向けの機械は少なく、導入しづらい。
- 作業の属人化と非効率性
- 収穫や除草などの作業は人の経験や勘に依存することが多い。
- 自動化が進んでいないため、作業負担が大きい。
理想:持続可能な農業
- 少ない人手で運営できる省力化農業。
- 低コストで導入可能な自動化の推進。
- AI・IoTを活用した効率的な栽培管理。
自動化が進みそうな農業ロボットの課題は?
メリット
- 人手不足の解消 → 労働力を補い、負担を軽減
- 作業の精密化 → センサーやAIを活用し、作業のムラを減らす
- 効率的な農作業 → ロボットの稼働時間を活用し、夜間作業も可能
デメリット
- コストの問題 → 初期投資が高く、回収まで時間がかかる
- 技術の習熟 → 操作やプログラムの知識が必要な場合がある
- 適応性の低さ → 単一作物向けの機械が多く、汎用性に欠ける
米国スタートアップ「farm-ng社」による農業自動化

farm-ng社とは
farm-ng社は、アメリカ・カリフォルニア州を拠点とする農業ロボット開発企業です。
大規模農場から小規模栽培者、エンジニア、農学者まで、多様な顧客コミュニティと協力して、農場が繁栄し、健康に良い食品が持続可能かつ公平な方法で生産される未来を築くというビジョンを掲げています。
中小規模農家向けの低コストかつモジュール式のロボットを開発し、農業の自動化と効率化を推進しています。
設立 | 2020年 |
本社所在地 | アメリカ・カリフォルニア州 |
CEO | Claire Delaunay(クレア・デロネイ) ・元NVIDIAのエンジニアリング担当副社長 ・自律走行技術やロボティクスの専門家 |
創業者 | Ethan Rublee(イーサン・ルブリー) 有機ハーブ農園を訪れた際に「農業の自動化が進んでいない」ことを知り、創業を決意 |
農業ロボット「Amiga」とは

米国のスタートアップFarm-ngが開発したモジュラー式農業ロボットです。
フレームや車輪の高さを調整でき、様々な農機具と接続可能な構造になっています。例えば、種まき・除草・収穫・運搬など、農作業の種類に応じて機能を追加できます。
<Amigaの特徴>
- 価格が安い(基本構成で約1万ドル=約130万円)
- コンパクトで中小農家向け
- 農機具を接続して多用途に活用できる
農業ロボット「Amiga」はどんな作業ができる?

- ✔ 農作物の運搬(最大431kg積載可能)
- ✔ 農機具の牽引(最大907kgまで)
- ✔ 肥料散布(API連携で最適な散布量を計算)
- ✔ 病害予防(UVライトによる夜間照射)
これらの機能は、日本の小規模農家や果樹農家でも活用できる可能性が高いです。
農業ロボット「Amiga」の自動化技術とAPI活用
Amigaの大きな特徴のひとつは、APIによる柔軟なカスタマイズが可能な点です。
API連携による肥料散布の最適化
- Amigaは走行スピードから最適な肥料散布量を計算し、自動制御が可能。
- 農家は専用の肥料散布装置を用意せず、Amigaと連携するだけで作業を効率化できる。
- farm-ng社は、肥料散布専用のアプリも開発しており、ユーザーは簡単に操作できる。
画像センサを活用した自動調整機能
- 画像センサを用いて地面状態の把握できる
- 地面状態から走行速度を最適化し、作業の精度を向上。
- 夜間にUVライトを照射し、うどん粉病を防止。
- これまで人が防御服を着て行っていた作業をロボットが代替。
- 農薬の使用を減らし、環境負荷を低減できるメリットも
農業ロボットが日本の農業環境に適応できるのか?

日本の農業は、圃場の狭さや傾斜地の多さが特徴。
Amigaがこれに適応するには、次の課題がある。
- 狭い農地での運用
- 日本の農地は区画が小さく、通路幅も狭い。
- Amigaのサイズを調整し、日本向けモデルを開発する必要がある。
- 水田での利用
- Amigaは基本的に畑作向け。水田では走行性能が課題になる。
- 水田専用の車輪や足回りの改良が必要。
- 操作スキルの問題面でのハードル
- AmigaはAPIを活用し、さまざまな作業に対応できるが、農家自身がシステム設定や操作を覚える必要がある。
- 例えば、「Amigaを使って肥料散布を最適化する」には、APIの設定やアプリの操作を習得しなければならない。
- 農業はもともとアナログな作業が中心だったため、デジタル技術への対応が課題となる
まとめ:中小農家の未来を支える農業ロボット

- 日本の農業は労働力不足や高齢化の課題を抱えている。
- Amigaは低コスト・多用途な農業ロボットとして、その解決策になり得る。
- しかし、日本の農地環境に適応するための改良や、導入コストの課題が残る。
- 今後、補助金制度や技術改良が進めば、中小農家でも導入しやすくなる可能性がある。
iCOM技研へのお問合せ
iCOM技研では、協働ロボットとAIを中心にシステムインテグレーター事業を展開しております。協働ロボットシステムの導入を依頼されるだけでなく、ソフトウェア開発やAI開発も相談いただいております。
農業に関する自動化や新しいソフトウェアの共同開発など、相談がありましたらぜひ一度お問合せください!
参考
HP:https://farm-ng.com/for-farms
日経ロボティクス:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00167/