溶接品質を左右する要素は数多くありますが、その中でも見落とされがちなのがワイヤ送給の安定性です。どれだけ高性能な溶接電源を使用していても、ワイヤが一定速度で安定して送られなければ、アークは不安定になり、ビードの乱れやスパッタ増加といった問題が発生します。
こうした課題に対し、長年溶接現場で評価されてきたのが、ダイヘンの「らくらくフィーダ」です。
本記事では、らくらくフィーダのラインナップと、なぜ現場で“必要とされ続けているのか”を、溶接初心者にも分かるように解説します。
目次[]
そもそもワイヤフィーダの役割とは
MIG/MAG溶接や半自動溶接では、溶接ワイヤ=溶加材を一定速度で送る必要があります。この送給を担うのがワイヤフィーダです。
ワイヤ送給が不安定になると、
- アークが途切れる
- ビード幅がばらつく
- スパッタが増える
- 音や振動が不安定になる
といった現象が起こります。
つまり、ワイヤフィーダは溶接品質の土台とも言える存在です。
大型ワーク溶接自動化を取り巻く従来の課題

大型ワークの溶接を自動化する場合、従来はロボットのリーチ確保が最大の課題でした。ワーク全体にトーチを届かせるためには、必然的に大型の産業用ロボットを導入する必要があり、安全柵を含めた大規模な設備構成が前提となっていました。
この構成では、設備規模が大きくなるだけでなく、一定量を継続的に生産する大型ワークでなければ、十分な費用対効果を得ることが困難でした。ワークサイズに合わせた結果、設備がオーバースペックとなり、自動化コストが過剰になるケースも少なくありません。
さらに、大型ロボットと安全柵によって広い設置スペースが必要となるため、レイアウト制約を理由に導入自体を断念せざるを得ない現場も多く存在していました。
大型産業用ロボット前提の自動化が抱えていた限界
従来の大型産業用ロボットを前提とした構成は、初期投資額が大きく、設備の移設やレイアウト変更も容易ではありません。そのため、量産を前提とした一部の現場にしか適用できないという制約がありました。
結果として、大型ワークの溶接自動化は「一定量が出る仕事専用」という位置付けになり、多品種少量生産の現場では、人手による溶接作業が継続されるのが一般的でした。
協働ロボット普及による自動化ニーズの変化
一方で近年、協働ロボットの普及により、溶接自動化の考え方は大きく変わりつつあります。
協働ロボットは教示が容易で段取り替えにも柔軟に対応できるため、少量多品種生産に適しており、安全柵を最小限に抑えられる点も導入のハードルを下げています。
ただし、協働ロボットは産業用ロボットと比べてリーチが短いという特性があり、大型ワーク全体をそのままカバーできないという新たな課題が生まれました。
そのため現在では、昇降機・スライダー・移動式構成などを組み合わせて可動範囲を拡張し、大型ワークにも対応する手法が検討されるようになっています。
そこで必要になるのが「溶接ワイヤ供給装置」
ロボットを昇降・移動させる構成では、溶接電源やワイヤ供給をロボットに追従させる必要があります。
ここで重要になるのが、安定してワイヤを供給できるフィーダの存在です。安定供給が出来なければ以下の問題が起きます。
- ワイヤが長距離になる
- 姿勢変化が大きくなる
- ケーブル取り回しが厳しくなる
このように、ワイヤ送給が不安定になりやすく、アーク不良やビード乱れの原因になります。
らくらくフィーダが大型ワーク自動化に適している理由
昇降機やスライダーを組み合わせる、あるいはロボット自体を移動式とすることで、協働ロボットでも大型ワークに対する溶接自動化は可能になります。
一方で、このようにロボットの可動範囲を広げる構成では、新たな課題も生じます。
それが、ロボット本体だけでなく、溶接トーチに供給されるワイヤの取り回しや送給の安定性です。
そのため、大型ワークを対象とした溶接自動化を成立させるには、ロボットの動きに追従しながら、安定してワイヤを供給できる溶接ワイヤ供給装置が不可欠となります。
ダイヘンのらくらくフィーダは、
- 安定したワイヤ送給性能
- 姿勢変化・移動を前提とした設計
- 自動化・ロボット溶接との高い親和性
を備えています。
ダイヘンの溶接ワイヤー供給装置「らくらくフィーダ」のラインナップは?
以下で、らくらくフィーダのラインナップを紹介していきます。
溶接ワイヤー供給装置「新らくらくフィーダ」

本画像は、株式会社ダイヘンの製品を引用しております。
本装置は、CO2/MAG自動溶接用中継フィーダシステムになります。最長28m、造船、鉄構、鉄骨などに抜群の威力を発揮します。
特徴
- リモコン内蔵により、一線式ケーブルを実現
- 狭いところでもくぐりぬけられるスリムな構造
- 強力な送給力で、中間ケーブル内の残りワイヤも溶接可能
- ガス電磁弁内蔵で、アークスタート時の品質も良好
仕様
| 制御装置 | CC-301 |
|---|---|
| 定格入力電圧 | 三相200V |
| 制御方式 | プルフィーダ:低速度制御方法 プッシュフィーダ:速度対応形定トルク制御方式 |
| 外形寸法(幅×奥行×高さ) | 140×350×420mm |
| 質量 | 17kg |
| 一線式中間ケーブル | BCM-3220 ※1 |
| ケーブル長さ(一線式) | 20(25、15、10)m ※2 |
| 適用ワイヤ径 | 1.2、1.4mm共用 |
| ワイヤの種類 | ソリッド、コア―ド ※4 |
| 定格電流 | 350A |
| 使用率 | 60% |
| プルフィーダへの接続 | ワンタッチ着脱方式 抜け止めフック付 |
| 質量 | 21kg |
| プルフィーダ | CM-302 |
| ワイヤ送給速度 | 1.5~18m/分 |
| 適用ワイヤ径 | 1.2、(1.4)mm ※3 |
| ワイヤの種類 | ソリッド、コア―ド ※4 |
| 外形寸法(幅×奥行×高さ) | 115×380×100mm |
| 質量 | 5kg |
※1一線式中間ケーブルには、リモコンケーブルが内蔵されています。
※2 ケーブルの長さは、20mが標準ですがそれ以外に( )内の長さも用意しておりますので
ご発注時に長さをご指示ください。(中間ケーブル欄参照)
※3 ( )内のワイヤを使用するときは別売品が必要です。
※4 コア―ドワイヤについては、使用ワイヤ径に一部制限がありますので、
ダイヘン溶接機販売店、または、ダイヘンへお問い合わせください。
溶接ワイヤー供給装置「デジタルらくらくフィーダⅡ」

本画像は、株式会社ダイヘンの製品を引用しております。
本装置は、最長58mの溶接ワイヤー供給装置です。
特徴
- 最長で溶接電源から58m、ワイヤ送給装置から36m離れた先の溶接を可能とし、
送給装置を移動する負担を大幅に軽減 - ソリ形状を採用し、取り回しがらくらく!
- 二重カバー構造で高い堅牢性を実現
- リモコンパネルの搭載で作業効率UP
| 冷却方式 | 空冷 | 水冷 |
|---|---|---|
| CMPF形送給装置 | CMPFW-3002 | |
| 適用溶接電源 | WB-M350LⅡ、M350(Ⅱ)、M500(Ⅱ)、M500GS(Ⅱ)、 P350L(Ⅱ)、P350(Ⅱ)、P500L(Ⅱ)、W350、M500G | |
| 適用送給装置 | CM-7403 | CMW-7403 |
| 適用溶接トーチ | ブルートーチⅢシリーズ(セントラルコネクション) | |
| 中間ケーブル | BCMPF-30102(30202) | BCMPFW-30102(30202) |
| アダプタ | K-8260 | K-8261 |
| E-2679形制御装置 | E-2679 | |
| CM-7403系 ワイヤ送給装置用接続キット | K8113A00 | |
| BBTP-04形制御ケーブル | BBTP-0414 | |
| 冷却方式 | 空冷 | 水冷 |
|---|---|---|
| CMPF形送給装置 | CMPFAW-3002 | |
| 適用溶接電源 | P350L(Ⅱ)、P350(Ⅱ)、P500L(Ⅱ)、W350 | |
| 適用送給装置 | CMA-7403 | CMAW-7403 |
| 適用溶接トーチ | ブルートーチⅢシリーズ(セントラルコネクション) | |
| 中間ケーブル | BCMPFA-30102(30202) | BCMPFAW-30102(30202) |
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- 導入前の実機デモ・試溶接テストで効果を可視化
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