近年、物流・製造・EC業界などで段ボールが広く使われています。段ボールは、厚み・強度・サイズなど複数の「段ボール規格」によって分類されています。
これらの規格は、単なる包装仕様ではなく、輸送効率・保管効率・自動化設備との適合性にも大きく関わる重要な要素です。段ボール規格が変わると、耐荷重や緩衝性能、印刷適性などが大きく変わります。
本記事では、段ボール規格について分かりやすく解説します。また、積み付け作業の自動化の際に注意するポイントについても併せて解説します。

目次[]
段ボールの基本構造

段ボールは、波状の紙(中芯)を平らな紙(ライナー)で挟んだ構造を持つ包装材です。この構造により、軽量でありながら高い強度と緩衝性を実現しています。
段ボールの基本構成は次の3つです。
| 構成 | 役割 |
|---|---|
| ライナー(表面紙) | 箱の表面強度を担う |
| 中芯(フルート) | 衝撃吸収・圧縮強度 |
| ライナー(裏面紙) | 箱全体の剛性を確保 |
この波状部分をフルートと呼び、段ボール規格の最も基本的な分類になります。
段ボール規格① フルート(段の種類)

段ボール規格の中でも最も基本となるのがフルート規格です。フルートとは中芯の波形構造のことで、段の高さや密度によって段ボールの特性が大きく変わります。
代表的なフルートは次の通りです。
| フルート | 厚み | 特徴 |
|---|---|---|
| Aフルート | 約5mm | 緩衝性が高い |
| Bフルート | 約3mm | 強度と印刷性のバランス |
| Cフルート | 約4mm | 輸送用途に多い |
| Eフルート | 約1.5mm | 薄く印刷性が高い |
| Fフルート | 約1mm | 化粧箱用途 |
Aフルート(A段)|緩衝性が最も高い段ボール

Aフルートは、段ボールの中でも最も段の高さが大きいフルートです。
厚みは約5mm前後で、内部の空気層が多いため優れた緩衝性能を持っています。この空気層がクッションの役割を果たすため、輸送時の衝撃吸収能力が高いのが特徴です。
主な特徴は以下の通りです。
- 緩衝性能が高い
- 圧縮強度が高い
- 重量物に適している
- 表面がやや波打ちやすい
そのためAフルートは、電化製品や精密機器といった、輸送保護を重視する用途で広く使用されています。
Bフルート(B段)|日本で最も多い段ボール

Bフルートは、日本の物流で最も一般的に使用されている段ボール規格です。
厚みは約3mmで、Aフルートよりも段が低く密度が高いため、表面が平滑になります。このため印刷品質が高く、商品パッケージとしても利用しやすいという特徴があります。
Bフルートの特徴は次の通りです。
- 印刷適性が高い
- 箱形状が安定
- 積み重ね強度が高い
そのためBフルートは梱包用として特に通販物流で標準的に使用されるケースが多いです。
Cフルート(C段)|輸送用途の標準規格

Cフルートは、AフルートとBフルートの中間的な特性を持つ段ボールです。
厚みは約4mm程度で
- 緩衝性
- 強度
- 印刷性
欧米では最も一般的な段ボール規格として知られています。日本ではA段・B段が多いものの、輸出梱包ではC段が採用されることも多くあります。
強化段ボール(複層段ボール)の種類
一般的な段ボールはフルート(波形構造)が1層の構造で、これをシングルウォール段ボールと呼びます。日用品やEC配送など多くの用途ではこの構造で十分な強度があります。
しかし、重量物の輸送や海外発送など、より高い耐荷重や耐衝撃性が求められる場合には、フルートを複数重ねた複層段ボールが使用されます。フルートの層数が増えることで厚みと強度が向上し、通常の段ボールでは対応できない輸送条件にも対応できるようになります。
複層段ボールは主に次の3種類に分類されます。
| 種類 | 構造 | 厚み目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 複両面段ボール(Wフルート) | フルート2層 | 約6〜8mm | 重量物・輸出梱包 |
| AA段ボール | Aフルート×2 | 約10mm | 精密機器・特殊梱包 |
| 複々両面段ボール(AAA段) | フルート3層 | 約15mm | 超重量物輸送 |
それぞれの特徴を順に見ていきます。
複両面段ボール(Wフルート)

複両面段ボールはフルートを2層にした構造の段ボールです。一般的な段ボールよりも圧縮強度が高く、輸送時の衝撃にも強いことが特徴です。
代表的な構造としては、AフルートとBフルートを組み合わせたAB段が広く使用されています。
Aフルートは段の高さが大きく緩衝性能に優れ、Bフルートは段の密度が高く圧縮強度に優れています。この2つを組み合わせることで、衝撃吸収と積載耐荷重のバランスが取れた段ボールになります。
そのため、長距離輸送を伴う海外発送の梱包箱として多く使用されています。
AA段ボール(AAフルート)

AA段ボールは、Aフルートを2枚重ねた構造の段ボールです。緩衝性能に優れたAフルートを2層構造にすることで、衝撃吸収性能をさらに高めた段ボールになります。
Aフルートは表面の平滑性が低く加工性にもやや劣るため、一般的な物流用途ではあまり流通していません。そのためAA段は、精密機器や高価な製品など、特に輸送時の衝撃保護を重視する場合に使用されることが多く、特殊な梱包資材として扱われるケースが多い段ボールです。
複々両面段ボール(AAA段)

複々両面段ボールはフルートを3層重ねた構造の段ボールです。代表的な構造はAフルートを3層重ねたAAA段です。
厚みは約15mmに達し、段ボールとしては最大級の厚さになります。この構造によって非常に高い圧縮強度を持ち、木箱や合板ケースの代替として利用されることもあります。
パレットなどに応用できる段ボールです。一般段ボールと比べると6倍~10倍程の強度を発揮します。
特殊ライナー(機能性ライナー)

段ボールの表面紙であるライナーには、用途に応じて表面加工が施された特殊ライナーが使用される場合があります。
これは輸送環境や製品保護の目的に合わせて、薬剤や特殊素材による加工を行ったライナーです。
代表的なものとしては次のような種類があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 撥水ライナー | 水分をはじく加工を施したライナー |
| 耐水ライナー | 湿度や水濡れに強いライナー |
| 防錆ライナー | 金属部品の錆を防ぐ加工 |
| 導電性ライナー | 静電気を防止するライナー |
これらの特殊ライナーは輸送品質を高めるために有効ですが、物流自動化設備においては注意すべき点もあります。
自動化設備への影響
吸着ハンドへの影響
パレタイジングロボットなどでは、真空吸着ハンドを用いて段ボールを搬送するケースが多くあります。
吸着ハンドの保持力は、基本的に吸着面の密閉度と面積によって決まります。
しかし特殊ライナーの場合、表面に施された加工によって
- 表面の摩擦特性
- 空気の透過性
- 表面の粗さ
が通常の段ボールと異なることがあります。
そのため吸着性能が想定より低下することがあり、事前の吸着テストが必要になるケースも少なくありません。
段ボール構造による影響
段ボール箱の構造によっても、吸着搬送の適性は変わります。例えば、段ボール箱の上面には内部空間があります。そのため、吸着パッドで面吸着を行うと吸着時の圧力によって箱の上面が押し潰されてしまうことがあります。
特に
- 軽量箱
- 薄い段ボール
- 内容物に空間がある箱
ではこの現象が起きやすく、面吸着方式が適さない場合があります。
物流自動化における重要なポイント

このように段ボールの種類や構造は、ロボットハンドの性能や搬送安定性に直接影響します。
そのためパレタイザーなどの物流自動化設備では、
- 段ボールの表面素材
- 段ボールの強度
- 箱の構造
- 内容物の状態
などを考慮したうえで、適切なハンドや搬送方式を選定することが重要になります。
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