製造業では自動化の必要性が高まっています。しかし、既存の協働ロボットでは人が持ち運ぶには重いという課題がありました。
そこで登場したのがFANUCの 新製品「CRX-3iA」です。
従来のロボットに比べ、持ち運び・設置性に優れた協働ロボットとして注目されています。

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現場の課題
造船業界や建設業界の現場では、以下の課題が見られます。
- 熟練作業者の高齢化、若い作業者の減少による人手確保
- ロボットを導入した場合でも広範囲作業で移動に伴う段取り替えが多い
- 複数ロボットが必要で、工程スペースが圧迫される
これらは生産効率の低下や人員負担の増大を招いていました。
CRX-3iAの特徴とは?
ファナックCRX-3iAは、こうした現場ニーズに応えるべく開発されました。
- 本体重量は11kgと協働ロボットで最も軽量なクラス。
- さらに、3kg可搬の設計で、692mmのリーチのため、人の作業範囲をカバー。
- マグネットベースとの組み合わせで壁面にも設置できる柔軟性を備えています。
- タッチセンシングで溶接個所を自動認識できます。
CRX-3iA仕様・スペック
主要スペックを整理すると以下の通りです。
| 項目 | CRX-3iA |
|---|---|
| リーチ | 692mm |
| 可搬重量 | 3kg |
| 重量 | 11kg |
| 設置面積 | 不明 |
「CRX-3iA」従来機種との比較
以前のシリーズ、例えばCRX-5iAと比較すると、CRX-3iAは56%軽量化され1人での持ち運びができるようになりました。また、他のシリーズに比べコンパクトで必要な設置面積が少ないことから柔軟な運用が可能です。
一方で、リーチでは劣るため、一度に広い範囲を溶接することはできません。壁面で設置するような工程(造船や大型構造物の建設)毎にロボットを移動させる段取りが多い現場向きのロボットとなっています。
つまりCRX-3iAは「軽量・コンパクトボディで取り回しに優れる」点が大きな差別化ポイントです。

「CRX-3iA」の想定される用途と導入事例
CRX-3iAは、幅広い業界での活用が期待されるファナックの新製品です。軽くコンパクトなボディと協働ロボットならではの柔軟性を備えており、造船業界や建設業界、さらには検査やライン変更の多い電子部品業界、一般的な製造業まで多くの現場に適応します。
しかし、その特長は単に「軽量である」という点だけではありません。レイアウト変更時の負担を軽減し、従来の人手作業やオーバースペックな大型ロボットに頼っていた領域を効率的に自動化できる点にあります。
造船産業での適用シナリオ

造船産業では、船体ブロックの内部や上部へのアクセスが求められます。CRX-3iAは11kgの軽量ボディにより、従来人手で対応していた狭い空間での溶接、溶接個所に合わせた柔軟な運用が可能となります。
また、1人で8台程度を担当できるため、作業者1人当たりの生産性向上が期待できます。
建設業界でも


CRX-3iAは、造船業界以外の溶接用途にも強みを発揮します。
例えば建設業界では、CRX-3iAを導入することで1人で複数工程を同時に溶接できるため、作業者の生産性向上と作業負荷を軽減を同時にできます。
その他の用途:検査・組立
CRX-3iAは溶接に限らず、多様な工程に対応できます。
生産数に波のある検査・組立現場では、ロボットで作業させたい場所が頻繁に変わります。そこでマグネットベースによる簡単設置ができるCRX-3iAを導入すれば、従来のボルト締め固定と比較して、段取り時間を大幅に短縮できます。
また、CRX-3iAは軽量・コンパクトであるため、研究所等、用途は定まっていないがロボットを試験的に導入したい方にもおすすめです。
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参考文献:FANUC
