製造業では自動化の必要性が高まっています。しかし、既存の協働ロボットではリーチが短いという課題がありました。
そこで登場したのがユニバーサルロボット 新製品「UR8e Long」です。
1750mmのロングリーチを持ち、従来の限界を超えた協働ロボットとして注目されています。
目次[]
現場の課題
自動車や金属加工の現場では、以下の課題が見られます。
- 大型ワークや深いビンへのアクセスが難しい
- 複数ロボットが必要で、工程スペースが圧迫される
- 長尺溶接や広範囲検査での段取り替えが多い
これらは生産効率の低下や人員負担の増大を招いていました。
UR8e Longの特徴とは?
ユニバーサルロボット 新製品 UR8e Longは、こうした現場ニーズに応えるべく開発されました。
- UR20と同等のリーチを持ちながら、本体重量は44.7kgと約30%軽量化。
- さらに、8kg可搬(最大10kg対応)の設計で、17500mmのロングリーチ。
- Ø204mmと省スペースに設置できる柔軟性を備えています。
UR8e Long仕様・スペック
主要スペックを整理すると以下の通りです。
項目 | UR8e Long |
---|---|
リーチ | 1750mm |
可搬重量 | 8kg(最大10kgモード) |
重量 | 44.7kg |
設置面積 | Ø204mm |
保護等級 | IP65 |
クリーンルーム | Class 4 対応 |
制御ソフト | Polyscope 5 / Polyscope X |
特長 | Teach by Hand、MotionPlus対応 |
安全機能 | ISO10218準拠、衝突検知、力制御 |
加えて、最新のジョイント設計により、従来機種比で最大30%高速なサイクルタイムを実現しています。
「UR8e Long」従来機種との比較
UR10e(リーチ1300mm、可搬12.5kg)と比較すると、UR8e Longはリーチが35%延長され広範囲に対応可能です。
一方で、UR20(リーチ1750mm、可搬20kg)と比べると可搬力は劣るものの、本体重量は約20kg軽量で取り回しやすく、スペース制約がある工場や天吊り設置に適しています。
つまりUR8e Longは「広い作業範囲を軽量ボディで実現する」点が大きな差別化ポイントです。
「UR8e Long」の想定される用途と導入事例

UR8e Longは、幅広い業界での活用が期待されるユニバーサルロボットの新製品です。長いリーチと協働ロボットならではの柔軟性を備えており、自動車産業や金属加工分野、さらにはプラスチックや樹脂成形、一般的な製造業まで多くの現場に適応します。
しかし、その特長は単に「リーチが長い」という点だけではありません。工程全体を見直し、従来の人手作業やオーバースペックな大型ロボットに頼っていた領域を効率的に自動化できる点にあります。
自動車産業での適用シナリオ


自動車製造ラインでは、車体の内部や複雑な治具へのアクセスが求められます。UR8e Longは1750mmのロングリーチにより、従来人手で対応していた狭い空間でのピック&プレースを自動化できます。
例えば、未塗装の車体構造における部品搬送では、内部までスムーズにアプローチできます。さらに、広い治具に配置された複数ポイントに一度で届くため、治具の再配置や段取り替えが大幅に削減されます。
実際、UR公式デモではUR8e Longが車体構造内部で部品を高速かつ高精度に搬送する様子が紹介されました。一方で、これまで対応できなかった狭所工程もロボット化でき、全体の効率向上につながります。
金属加工・溶接分野での導入効果


UR8e Longは溶接用途に強みを発揮します。長いリーチにより、大型ワークや複雑形状ワークの全周溶接や多点溶接が可能です。さらに、高精度なトーチ制御と繰り返し精度により、手作業では難しい安定したビード品質を実現します。
例えば板金溶接では、UR8e Longが直線性の高い動作で美しい溶接線を描きます。そのため、後工程の研磨や修正作業を減らせるため、生産時間と消耗品コストの削減に直結します。
実際、FABTECH 2025ではURのパートナー企業(THG Automation社、Hirebotics社、Vectis Automation社)がUR8 Longを搭載した協働溶接ソリューションをデモ展示しました。来場者は、従来なら複数の大型ロボットを必要とした工程を、UR8 Long一台でこなす様子に驚きの声を上げました。Vectis Automation社の担当者は「新しい溶接やプラズマ切断アプリケーションに対応可能で、安全性も犠牲にしていない」とコメントし、業界に強い印象を残しました。
その他の用途:研磨・検査・搬送
UR8e Longは溶接に限らず、多様な工程に対応できます。
研磨や仕上げ工程では、広い表面を一度に処理できるため効率が大きく向上します。さらに、品質検査では長いリーチで製品全体をシームレスにスキャンでき、検査精度を安定させます。そのため、不良の早期発見や品質保証の強化につながります。
一方で、CNCや射出成形機のマシンテンディングでは、複数台の機械を1台のUR8e Longでカバーできます。加えて、パレタイジングでは高段積みへの対応が可能となり、物流工程の効率も飛躍的に改善します。
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