ABBロボット事業をソフトバンクが買収へ|分社化撤回とAI戦略の真相

ABBロボット事業をソフトバンクが買収へ|分社化撤回とAI戦略の真相

2025.10.17

2025年10月8日、スイスの総合電機大手 ABB(Asea Brown Boveri) は、同社のロボティクス事業をソフトバンクグループ(SBG)に売却すると発表しました。

これまで進めてきた「ロボティクス事業の分社・上場(スピンオフ)計画」を撤回し、約53億7500万ドル(約8,100億円)での売却契約に切り替えるという、大きな方針転換です。

今回は、日経クロステックの記事から情報を整理して紹介していきます。

もともとは「独立上場」のはずだった

ABBは、もともとは「独立上場」のはずだった

ABBは2025年4月、ロボティクス事業を2026年第2四半期に新会社として上場させると発表していました。
理由は、ロボティクス事業は電化・自動化など他の事業と比べて市場特性が異なり、独立した成長が望ましいという判断からです。

しかし、半年後の2025年10月、状況は一変。
ABBは突如、分社化計画を中止し、ソフトバンクグループへの完全売却を決定しました。

売却の概要とスケジュール

項目内容
買収先ソフトバンクグループ(SBG)
売却金額約53.75億米ドル(約8,187億円)
取引形態ABBがロボティクス事業をカーブアウト(分離)後、SBGが新設持株会社の全株式を取得
完了予定2026年中盤〜後半(各国の規制承認を経て)
会計上の扱い2025年第4四半期から「廃止事業」として報告

出典:ABB公式リリース/ソフトバンクグループ公式発表(2025年10月8日)

ABBは、なぜ「売却」に方向転換したのか?

ABBは、なぜ「売却」に方向転換したのか?

① 資源の集中と経営効率化

ABBは、今後の成長領域を電化(Electrification)と自動化(Automation)に絞り、研究開発費や経営資源を集中的に投資する方針を明確化しました。

その中で、ロボティクス事業は「切り離して再構築する」方が合理的と判断されたとみられます。

② ソフトバンクの“フィジカルAI”構想との合致

ソフトバンクグループの孫正義会長は近年、「次のフロンティアはフィジカルAIだ」と語っています。

これは、AIが物理世界で自律的に行動するロボット時代の到来を意味します。
ABBの高度なロボット技術(ハード・制御・安全技術)は、ソフトバンクのAI・半導体・データセンターと相性が良く、まさに“理想的なピース”でした。

③ 即時的な資本回収と株主還元

スピンオフ上場には時間とコストがかかりますが、
売却ならば即時に資金を回収でき、株主価値を高められるという利点があります。
ABBは売却によって得た資金を、成長性の高い分野への再投資に活用する見込みです。

ABBロボティクスとは

ABBは、世界4大産業用ロボットメーカー(他はファナック、安川電機、KUKA)に数えられます。

溶接、組立、塗装、物流など、製造現場を支えるロボットを幅広く展開しています。また、協働ロボット「GoFa」「SWIFTI」シリーズは、欧州を中心に高い評価を得ています。

さらに、近年は自動走行搬送ロボット(AMR)や無人搬送車(AGV)の開発も強化しており、工場全体の自動化を包括的に支えるポジションを築いています。

今後の見通しと業界への影響

ソフトバンクが狙う「ハード×AI」の融合

この買収により、ソフトバンクはロボットのハードウェア技術とAI技術を統合し、
自律的に判断・行動する「フィジカルAI」時代の実現を加速させます。

また、物流、製造、介護、サービスといった領域で、AIロボットが“学習しながら動く”時代がさらに近づくことになるでしょう。

ABBに残る事業と新たな焦点

ABBはロボティクスを手放す一方で、自動化・デジタル制御といった中核事業に集中します。EV充電インフラ、プロセス制御など、社会インフラ寄りの分野で競争力を高める狙いです。

ABBの日本市場への影響は?

ABBのロボットは日本市場でのシェアこそ大きくありません。しかし、世界的には欧米の自動車・電機メーカーで広く採用されています。

今後、ソフトバンク傘下となることで、AI連携プロジェクトが期待されます。

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参考文献:日経クロステックABBがロボット事業をソフトバンクGに売却、分社化から戦略転換 | 日経クロステック(xTECH)

出典:ABB公式リリース/ソフトバンクグループ公式発表(2025年10月8日)

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