協働ロボットが自動点検ロボットの一部として活躍しているのを知っていますか?日経ロボティクス2024年8月号の記事で紹介されていた巡回点検ロボットについて協働ロボットSIerの視点から紹介していきます。
はじめに
北海道電力は、石狩湾新港発電所1号機で、最新の巡回点検ロボットを導入しました。このロボットは、DXの推進の一環として発電所内の点検業務を効率化し、スタッフの高齢化や人手不足といった課題を解消するために導入されました。
点検ロボットの概要
この点検ロボットは、自律移動ロボット(AMR)に協働ロボットのアームを搭載した構成となっており、発電所内を自律的に移動しながら、各種装置の状態を計測し、点検データを自動取得します。これにより、発電所内で監視スタッフが常駐する中央操作室から、リアルタイムでデータを確認することが可能です。
点検ロボットの構成
ロボットには、多彩なセンサーが搭載されています。RGBカメラ、偏光フィルタ付きカメラによる装置の外観撮影、サーモカメラによる装置の温度計測、紫外線センサーによる油漏れ検出、集音マイクによる音の計測など、複数のセンサーが搭載されており、これらを駆使して詳細な点検を行います。
VisualSLAMを用いたAMR(オムロン)に各種センサーを搭載した協働ロボットアーム(Techman)を組み合わせる形で自動点検ロボットとして運用しています。
協働ロボットアーム(Techman)
TM5S
- 可搬従量:6kg
- 重量:22.1kg
- 到達範囲:476mm
AMR(オムロン)
LD-90x
- 可搬従量:90kg
- マップ作成
- 障害物回避
協働ロボットアームが選ばれた理由
なぜ自動点検ロボットに協働ロボットアームが選ばれたのか?
それは協働ロボットが持つ柔軟性にあると思われます。
点検箇所は複雑かつ多様な環境が予測されます。そのような環境でも、複数のセンサーをアーム先端に取り付けるだけで点検ロボットに早変わりします。6軸多関節の特徴を生かし、遠く狭い位置でも接近でき、自由な視点と角度で検査を行うことができます。
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点検ロボットの運用と課題
2023年3月からテストを開始し、2024年4月から正式に稼働を開始しました。ロボットは毎日17時30分に自動で充電ステーションからスタートし、約3時間かけて発電所内を巡回します。当初はグレーチングに車輪がはまる問題やケーブルの位置が原因での停止などの不具合がありましたが、これらの問題は改造によって解決され、現在では連日順調に稼働しています。
導入の成果と今後の展望
点検ロボットの導入により、従業員の負担が軽減され、点検時間も短縮されました。また、ロボットが収集したデータを一元管理できるため、データの確認や分析も効率化されています。
さらに、センサーやロボット技術の革新により、協働ロボットの活躍の場が広がっています。これにより、発電所だけでなく、他の産業分野でも協働ロボットの導入が進み、業務の効率化と安全性の向上に大きく貢献することが期待されます。
まとめ
北海道電力の点検ロボット導入は、業務効率化と作業負担軽減に大きく寄与しています。協働ロボットを点検ロボットのパーツとして応用する画期的な事例でした。
弊社は、各社のニーズに合わせた最適な自動化ソリューションを提供しております。
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