【2025年義務化】熱中症対策に使える空調補助金3選と申請の注意点まとめ

【2025年義務化】熱中症対策に使える空調補助金3選と申請の注意点まとめ

お役立ち情報 2025.08.05

2025年6月、厚生労働省による法改正により、職場における熱中症対策がついに義務化されました。酷暑が続く近年、工場や倉庫、建設現場といった屋内外の現場では、作業者の健康リスクがこれまで以上に深刻化しており、企業側の責任として暑さ対策の強化が求められています

しかし、「空調設備の導入には費用がかかる…。」「何から始めればいいかわからない…。」といった声も少なくありません。

そこで本記事では、今すぐ使える空調関連の補助金3選と、申請時の注意点をわかりやすく解説。また、法令対応と従業員の安全確保を両立するための実践的なヒントをご紹介します。

なぜ「今」熱中症対策が義務化されたのか?

厚生労働省が発表した職場における熱中症による死傷者数の推移
熱中症対策
引用:厚生労働省「令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します
  • 労災事例の増加
    2024年、職場の熱中症による死亡・重傷者数は1,257人で前年比14%増死亡災害は31件に上り、初期対応の遅れや症状の見逃しが背景にあるとされています 。また、全国で熱中症による救急搬送者は10万人近くに達し、社会問題化しています 。
  • 地球温暖化の影響
    気温上昇に伴い、真夏日の増加や酷暑の頻度が拡大。「地球沸騰化時代」とも呼ばれ、熱中症リスクが急激に高まっている状況です。
  • 制度対応の強化
    上記を受け、厚生労働省は2025年6月1日から改正労働安全衛生規則を施行しました。それにより、罰則付きで企業の熱中症対策を義務化しました。

義務化された熱中症対策項目(2025年6月施行)

項目内容・目的
報告体制の整備熱中症の疑いがある際、迅速に発見・報告できる体制の構築(例:#7119活用)
作業手順の策定症状発生時の対処マニュアル整備(冷却・中断・医療連携など)
関係者への周知徹底作業員全員へルールや手順を明確に伝達(掲示・教育)
WBGT計測と管理WBGT値によるリスク判定と温度環境の把握・記録
基準超過時の対応作業短縮・休憩場所設置・冷房強化など適切な環境調整
教育と暑熱順化の配慮教育訓練と新人・高齢者への暑さ慣れ支援(段階的慣らし)

熱中症対策に使える補助金 3選

業務改善助成金(厚生労働省)

令和7年度業務改善助成金

令和7年度業務改善助成金について詳しくはこちらから

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中小企業の生産性向上と賃上げを支援するための補助金です。熱中症対策としての空調機器や休憩所整備にも活用可能です。

項目内容
対象企業中小企業・小規模事業者
補助対象生産性向上を目的とした設備投資(休憩所整備・空調機器など)
補助率最大9/10(賃上げ要件により変動)
対象設備スポットクーラー/空調付き休憩所/空調服/換気設備など

エイジフレンドリー補助金(厚生労働省)

エイジフレンドリー補助金

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高齢者が安全に働ける職場環境の整備を目的とした補助制度です。空調服や送風設備など、熱中症対策に直結する機器の導入に利用できます。

項目内容
対象企業高齢者(60歳以上)を雇用する中小企業
補助対象高齢者の安全・健康確保に資する職場環境整備
補助率1/2(上限100万円)
対象設備空調服/WBGT測定器/送風ファン/冷房休憩所/ミストファンなど

働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)

令和7年度「働き方改革推進支援助成金」

令和7年度「働き方改革推進支援助成金」の資料をぜひご活用ください!

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労働時間短縮や健康的な職場づくりを進める企業を支援する補助金です。快適な作業環境を実現するための空調・休憩所整備にも適用可能です。

項目内容
対象企業働き方改革に取り組む中小企業(労働時間短縮・有給取得促進など)
補助対象快適で生産性の高い職場環境づくりに資する設備投資
補助率最大4/5(上限200万円)
対象設備空調機器/冷房休憩所/遮熱シート/ミストファン/換気設備など

【必読】熱中症対策で空調補助金を活用する際の5つの注意点とは?

熱中症対策補助金を活用する際の5つの注意点

熱中症対策の一環として、空調設備を更新する企業が急増しています。そこで欠かせないのが補助金制度の活用です。しかし、空調補助金の申請には見落としがちな落とし穴も多数存在します。ここでは、実際に申請を行う前に知っておくべき5つの注意点を詳しく解説します。

1. 補助金の交付決定前に契約・購入してはいけない

最も多い失敗例が、「交付決定前にエアコンを購入してしまった」というケースです。
補助金は原則、「交付決定後に契約・発注・工事を実施したもの」が対象です。また、見積もり取得や製品選定は可能でも、契約・支払いはNGです。そのため、事前に以下の準備を進めておくとスムーズです。

  • 空調機器の選定と見積もり取得
  • 現在の消費電力量やCO₂排出量の確認
  • 補助金申請に必要な書類の収集

申請先の公募要領を必ず確認し、スケジュール管理には細心の注意を払いましょう。

2. 法人向け補助金かを必ず確認する

補助金の中には個人住宅向け家庭用空調機器向けのものも存在します。しかし工場や事業所で使う業務用空調の更新には、法人向け補助金であることが前提です。

また、個人事業主が対象となるかどうかは補助金ごとに異なります。例えば、

補助金名個人事業主 対象有無
省エネ補助金(SII)❌対象外
エイジフレンドリー補助金⭕対象
新宿区省エネ機器補助金⭕対象

などのように、対象区分を見落とすと申請自体が無効になる恐れがあります。

3. 補助金対象の空調は一定期間「処分・譲渡」できない

補助金を受けて購入した空調設備は、原則として一定期間(例:5年間)処分・転売・譲渡できません
また、もし不要になっても、補助金事務局の承認がないまま撤去・転売した場合は返金命令が下ることもあります。

そのため、事前に「どこで・どのように使用するか」「耐用年数まで使い切る予定か」などの運用計画を明確にしておきましょう。

4. 新規購入では補助対象外になるケースが多い

「これまで空調がなかった作業場に、新たに設置したい」という場合、補助対象外になる可能性が高いです。

多くの補助金は、古い空調から新しい省エネ型への「更新」を目的に設計されています。そのため、新設の場合は「更新」に該当しないと判断されることが一般的です。

申請前に、「既存機器の使用状況」「更新による省エネ効果」の提示が求められる点にご注意ください。

5. 助成金制度は対象外になるケースが多い

「補助金」と混同されやすいのが「助成金」ですが、空調設備の更新は助成金の対象にならないケースが多いです。

例えば、「業務改善助成金」や「働き方改革推進支援助成金」は、労働環境の改善や省力化を目的とする設備導入が対象であり、空調の更新単体では認められにくいのが実情です。

そのため、空調設備に関しては、省エネ関連補助金(例:SIIの省エネ補助金)を第一候補に検討するのが賢明です。

補助金のルールを正しく理解し、無理なく職場の暑さ対策を進めましょう

2025年6月の法改正を受け、空調導入はもはや“努力義務”ではなく“法的義務”です。しかし、補助金をうまく活用すれば、コストを抑えながら法令対応も省エネも両立できます。

また、申請ルールを誤ると全額自己負担や返還リスクにもなりかねません。今回ご紹介した「5つの注意点」を念頭に、万全な準備を整えましょう。

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