【シスメックス】遺伝子検査を自動化!

【シスメックス】遺伝子検査を自動化!

協働ロボット 2024.11.26

近年、医療技術の進歩とともに、がん治療における遺伝子検査の重要性が増しています。これにより、検査業務の効率化と精度向上が求められています。今回は、シスメックスが導入した協働ロボットによる自動化技術についてご紹介します。

シスメックスの取り組み

シスメックスは医療向けの検査機器や試薬を手掛ける企業であり、がんゲノム治療に必要な検査作業をロボットで自動化する技術を開発しました。自社業務効率化用に開発されたこのロボットは、従来の人手で行われていた作業を協働ロボットが遜色ない速度でこなし、作業品質も向上させているようです。

自動化のプロセス

シスメックスの自動化プロセス

従来の手作業には、細心の注意を払う作業を1日4~5時間、120~160個ほどの検体について実施するもので、作業者によっては複雑で負担が重いという問題点がありました。そこでシスメックスはこれを解決するため、協働ロボットを導入しました。

① 検体をスライドガラスから削り取りチューブに入れる
② DNAを抽出
③ DNAの品質を確認
④ DNAを前処理するライブラリ調整
⑤ シーケンサで塩基配列を解析
⑥ 結果を分析

以上の6ステップで作業が行われています。②については市販のもので自動化が行われており、シスメックスが自動化に取り組んだのは最も手作業による負担が大きい①検体をスライドガラスから削り取りチューブに入れると、④DNAを前処理するライブラリ調整です

協働ロボットの活用

シスメックスが採用したロボットアームは、川崎重工製とUniversal Robots製の2種類です。特に、協働ロボットのUR3eモデルはアームを直接手で動かして動作を設定できる「ダイレクトティーチ」機能があり、ティーチング作業が行いやすいという利点があります。

UR3e

シスメックスが利用した協働ロボットのUR3e

・可搬重量:3kg
・動作半径:500mm
・据付面積:直径128mm
・本体重量:11.2kg

UR3eは、ユニバーサルロボット社の製品で最も小さいロボットです。重量3kg以下の軽量物のピッキングに最適です。

UR3e製品仕様書

製品の詳細についてはこちら。デモの依頼やお問い合わせお待ちしています

ダウンロード

シスメックスの協働ロボット利用事例

このUR3eを用いた①検体をスライドガラスから削り取りチューブに入れる作業の自動化について紹介します。

課題の概要

凍の作業は、スライドガラス上に乗っている検体を削り取り、試薬などと混ぜるためにチューブに入れる必要があります。しかし、検体が刃やチューブの縁にくっ付いてしまうことが多く、チューブの底にスムーズに落ちるわけではありません。このような理由から、この作業は繊細で器用さを要求されるため、自動化する際の課題が多く存在します。

以前の作業の様子
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00003/00116/(日経XTECH)

ゼロベースで作業を見直し

従来の人間の手作業をそのまま再現するのではなく、ゼロベースで作業を見直しました。

まず、検体がこぼれやすいという問題に対しては、検体を加熱することで対処しました。粘性の高い状態にすることで、刃で削ってもボロボロとこぼれ落ちにくくなります。これにより、画像センサでこぼれ具合などを認識する複雑な処理を行わずとも、自動化しやすくしました。

垂直固定と新しい削り方法

人間が作業する際には、スライドガラスを水平にして机に載せていました。しかし、今回のシステムではスライドガラスを垂直に固定し、ロボットが刃を下から上にすくい上げるようにして削る方法を採用しました。

シスメックスの新しい作業の様子
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00003/00116/(日経XTECH)

刃の自動交換機能

削り終わった刃は自動で新しいものに取り換えられ、磁石を用いて刃の位置がずれない工夫がされています。

刃交換の自動化
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00003/00116/(日経XTECH)

今後の展望と課題

シスメックスは今後も自動化技術を他の医療分野への応用することも検討しているようです。一方で、さらなる改善が必要な課題もあります。

今回は特に力制御などで刃を当てる際の力などを制御しているわけではありません。ただし、制御の際の力は計測してあり、今後の開発に生かす狙いがあるそうです。

まとめ

シスメックスの事例から、人の作業を代替する協働ロボットが人の動作を再現することが効率化ではなく、先入観を捨てたゼロベースでのシステム構築が重要であるとわかります。また、製造業だけでなく、医療業界でも更なる自動化を進めていくために、協働ロボットの活躍の場が増えていくことが期待されます。

参考文献

iCOM技研の取り組み

iCOM技研はSIer事業を展開しており、協働ロボットシステムの導入を行っています。弊社は、協働ロボットの販売からソフトウェア開発、ロボットスクールまで行っています。2024年からAI開発にも取り組み始めました。

パレタイザー資料パッケージ

協働ロボットを用いたパレタイジングパッケージについて紹介します!

ダウンロード

デモ依頼はこちら

自社の製品に合わせたデモの実施も行っております。

デモ依頼・お問い合わせお客様は、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。

基礎からわかる! 協働ロボットお役立ち
資料集

協働ロボット導入をお考えなら、まずはこちら。
初心者の方でも基礎からわかる3つの資料が手に入ります。

  • 導入事例・システム価格がわかる!協働ロボット導入事例BOOK
  • 知らないと損をする中小・中堅企業の工程自動化最前線
  • 協働ロボットの失敗しない比較ポイント12の秘訣
基礎からわかる!協働ロボットお役立ち資料集

お気軽にお問い合わせください