目次[]
はじめに
生成AIは、テキスト、画像、動画コンテンツの生成を劇的に変えた技術です。これにより、さまざまな分野で新しい応用が可能となりました。特に、大きな注目を集めているOpen AIの動画生成技術Soraと同じ拡散モデルを使用することで、動画生成をロボットシミュレータとして利用することができます。本ブログでは、生成AIを用いたロボットシミュレータの利点とその応用方法について詳しく解説します。
生成AIによる動画生成の基礎
拡散モデル(Diffusion Model)
拡散モデルは、データにノイズを段階的に追加し、その逆プロセスでノイズを取り除くことでデータを生成します。このモデルの特徴は、データ生成の品質が非常に高く、特に画像生成で優れた性能を発揮できることです。
動画生成のシステム
拡散モデルを使用した動画生成のフローは以下のようになります。
UniSim(生成AIによるユニバーサルシミュレータ)
UniSimは、生成AIを用いたユニバーサルシミュレータです。多様なデータセットを統合し、高レベルおよび低レベルの制御指示をシミュレートすることができます。これにより、ロボットの複雑な操作や動作をシミュレートし、実世界での応用を容易にします。
メリット
生成AIを用いることで、ロボットシミュレータは高品質なデータ生成能力を持ち、学習が安定し、実世界での応用可能性が高まります。
異なるインターフェース
現在主流のシミュレータは運動方程式やコードに従ったものですが、UniSimのタスク指示はテキスト、手策姿勢はアクションのように2つのインターフェースを持っています。
現実データと同じリアリティー
拡散モデルを使用し、現実的な写実的な動画を生成できることで、現実世界とのギャップをなくすことができる。これは、シミュレータ内で得たデータを学習として応用するうえで大きなメリットとなります。
期待される分野
ロボットビジョンと操作
ロボットビジョンと操作の分野では、生成AIを用いたシミュレータが、ロボットの視覚認識や操作の精度を向上させます。例えば、物体の認識や把持のシミュレーションにより、ロボットの性能を最適化できます。また、AIの学習データとして利用することもできます。
自動運転・医療分野
生成AIを用いたシミュレーションにより、自動運転の性能向上が期待できます。リアリティーがあり、自由自在に環境を変化させられることで予測しずらい状況に対応できます。
これは医療分野でも同じで、本来得られにくい学習データを、リアリティーのある経験として機械に学習させられることでAIを用いた医療現場での活躍が期待できます。
課題
生成AIには、はじめの画像の意味にそぐわない指示が与えられた際にHallucination(モデルが現実に存在しない、または事実に基づかない情報を生成する現象)が発生する可能性があります。
解決には、学習モデルの規模を大きくすること、アーキテクチャの改善などがあります。
まとめ
生成AIは、高品質なデータ生成能力と学習の安定性から、ロボットシミュレータとして非常に有用です。本ブログでは、生成AIの基礎からその応用例、技術的な詳細、課題と未来展望について解説しました。生成AIシミュレータの利用は、今後の協働ロボットのビジョンシステムなどで期待できそうです。
iCOM技研の取り組み
iCOM技研はSIer事業を展開しており、協働ロボットシステムの導入を行っています。弊社は、協働ロボットの販売からソフトウェア開発、ロボットスクールまで行っています。2024年からAI開発にも取り組み始めました。
今後はティーチングレス化された協働ロボットシステムを開発し、製造業の人材不足を解消する製品を生み出していく方針です。