製造業における異常検知システムは、設備や製品の不具合を早期に発見し、生産効率を向上させるために重要です。今回は、そんな異常検知システムと、異常検知モデル(PatchCoreとPaDiM)についての特徴を紹介していきたいと思います。

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異常検査システムとは
製造業における異常検知システムとは、通常の動作や状態から逸脱した異常な行為やパターンを検出するためのシステムです。
種類
- ルールベースの異常検出:予め定義された閾値やルールに基づいて異常を検出する方式
- 統計的異常検知:過去のデータに基づいて、統計的に異常なパターンを検出する方式
- 機械学習・AIによる異常予測:正常な動作を学習したモデルが異常を予測する方式。教師あり学習や教師なし学習、深層学習などの技術が用いられます
活用のメリット
- 早期発見・予防保守
- コスト削減
- 品質向上
- 安全性高上
- 効率向上
モデルの種類
PatchCore

PatchCoreは、異常検出(Anomaly Detection)のタスクに特化した、効率的でシンプルな手法の1つです。主に画像データに対して異常を検出するために使用されます。元々は、製造業などで不良品を検出するために使われることを想定して開発されました。
PaDiM
PaDiM(パディム)*[1]は、2020年11月に発表された異常検知のための機械学習モデルです。PaDiMは、ImageNetの学習済みモデルに画像を入力して特徴を抽出した後、複数の層の特徴を結合してパッチを計算をします。このとき、複数の層から出力された特徴を組み合わせており、大きさの異なる欠陥にも対応できるように工夫がされています。また学習時には、正常画像のパッチの各要素の平均と共分散を求めておき、推論時にはマハラノビス距離でパッチが正常の分布からどの程度乖離しているのかを計測して異常度をスコア化するアルゴリズムとなっています。
異常検知のプロセス
PatchCore

パッチの特徴が抽出された後、PatchCore はこれらの特徴を通常の(異常のない)画像から得られる参照セットと比較します。この比較には、ユークリッド距離やその他の類似性測定が使用されます。参照セットから大きく逸脱したパッチは異常と見なされ、潜在的な異常としてハイライトされます。
PaDiM

PaDiMによる異物検知は、まず正常データを基に特徴を抽出し、各パッチ(画像の小領域)の特徴ベクトルを多変量正規分布としてモデル化します。次に、未知のテストデータを入力し、各パッチの特徴を計算して正常データの分布と比較します。この際、異常スコアが算出され、異常マップが生成されます。異常スコアが設定した閾値を超えた場合、異常と判定されます。これにより、高精度な異物検知が可能となります。
各モデルの特徴
メリット
PatchCore
検査対象物体に位置ずれがあっても異常を検出することができる。そのため、位置合わせが難しい場合や多少の位置ずれが許容される場合に適している。
PaDiM
微細な異常を見つけやすい特徴がある。細部までの異常を検知する必要がある場合に適している。
デメリット
PatchCore
正常データと比較する形で異常を検出するため、異常が微細な場合や、複雑な異常がある場合には、検出しにくいことがあります。微細な異常(小傷)などを見逃す傾向がある。
PaDiM
検査対象物体と学習データの位置合わせが厳密に求められる。位置ずれが少しでも起こると異常として検出されるため、精度の高い異常検知が必要な場合に適している。
参考文献
まとめ
この異常検知システムは、製造業の効率化に対する革新的なソリューションです。協働ロボットと組み合わせることでさらに柔軟性を拡張することができます。それに伴い、AI・テーチングに対する取り組みが重要になります。
新たな可能性を提供する協働ロボットと、その自動化システムには今後も注目していく必要があります。
iCOM技研の取り組み
iCOM技研はSIer事業を展開しており、協働ロボットシステムの導入を行っています。弊社は、協働ロボットの販売からソフトウェア開発、ロボットスクールまで行っています。2024年からAI開発にも取り組み始めました。
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