テラダイン社は、半導体検査装置の世界的リーダーとして知られていますが、同社は、人工知能(AI)を搭載した産業用搬送ロボット事業に参入し、工場内の搬送ロボットを公開しました。その内容をご紹介します。
このロボットは、人の代わりに部品を運ぶことで、半導体製造における省人化と効率化を実現します。これは、同社の主力である検査装置事業に次ぐ、新たな成長の柱として期待されています。
テラダインとは
テラダイン(Teradyne, Inc.)は、アメリカの自動試験装置(ATE)メーカーで、主に半導体、電子機器、ワイヤレス機器などのテストに使用される装置を製造しています。1960年に設立され、本社はマサチューセッツ州ノースリーディングにあります。Teradyneは、世界中の製造業者やエレクトロニクスメーカーに向けた信頼性の高いテストソリューションを提供しており、その技術は半導体業界で特に広く使われています。
テラダインのAI搬送ロボットの特徴
エヌビディアのAI
このロボットは、エヌビディアのAI技術を活用しており、工場内を自律的に移動しながら、まるで人と同じように部品を運搬します。エヌビディアのAIを活用することで、従来のソリューションと比較し、50~80倍の速度で経路を生成することができます。さらに、部品に異常が発生した際には即座に通知する機能を備えています。また、ロボットアームを付け替えることで、さまざまな製品や作業に柔軟に対応することが可能です。
URとMiRのノウハウ
テラダインは、2015年にデンマークのユニバーサルロボット(UR)を買収し、「協働ロボット」と呼ばれるロボットアームの分野で大きな足がかりを築きました。さらに、2018年には、自律走行搬送ロボットの大手であるモバイル・インダストリアル・ロボット(MiR)を買収しました。これらの戦略的買収は、今回開発されたAI搭載の搬送ロボットに直接繋がっています。両社の技術とノウハウが結集されたこの新しいロボットは、オートメーションの可能性と効率をさらに引き上げます。
なぜAI搬送ロボットなのか
背景
主力の半導体検査装置において、日本のアドバンテストと世界シェアを二分する厳しい競争に直面しています。しかし、アドバンテストが手掛けていない産業ロボットの分野に参入することで、製造ラインの省人化を進めたい半導体メーカーの新たな需要を掘り起こそうとしています。
また半導体業界には、半導体製造過程のごみ混入による製品不良や品質低下によって、年間数千億もの損失が生じています。現状では作業に人が携わるので、微細なごみやヒューマンエラーのリスクがどうしても存在します。
期待される効果
AI搬送ロボットの導入により、半導体工場では省人化が進み、人的ミスの削減が期待されます。さらに、作業員の往来による微細なごみの混入を防ぐ効果もあります。このようなリスクを最小限に抑えることで、製造プロセスの安定性と効率が向上することが見込まれています。
まとめ
このAI搬送システムは、半導体製造工程の問題に対する革新的なソリューションです。AMRと組み合わせるなど、協働ロボットの活躍の場はますます広がりを見せています。それに伴い、AI・テーチングに対する取り組みが重要になります。
新たな可能性を提供する協働ロボットと、その自動化システムには今後も注目していく必要があります。
参考文献
- 日本経済新聞
- https://www.moomoo.com/ja/news/post/35938877/teradyne-robotics-to-bring-the-power-of-ai-to-robotics?level=1&data_ticket=1724896731973683
iCOM技研の取り組み
iCOM技研はSIer事業を展開しており、協働ロボットシステムの導入を行っています。弊社は、協働ロボットの販売からソフトウェア開発、ロボットスクールまで行っています。2024年からAI開発にも取り組み始めました。
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