ロボットシステム導入時におけるバリデーションとは?

ロボットシステム導入時におけるバリデーションとは?

2025.05.09

医薬品の製造工程では生産設備の導入時にバリデーションを行うことが必要です。また、ロボットを使った自動化装置を導入する場合にも、同じようにバリデーションを実施しなければなりません。

今回は、ロボットシステム導入時におけるバリデーションの実施について解説します。さらに、自動化設備導入の際に気を付けるポイントなどについても解説していきます。

ロボットシステムの導入でバリデーションが必要?

医薬品の製造工場でバリデーションを行わなければならないことは、改正GMP省令第13条に記載されています。

第十三条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 次に掲げる場合においてバリデーションを行うこと。

イ 当該製造所において新たに医薬品の製造を開始する場合

ロ 製造手順等について製品品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合

ハ その他製品の製造管理及び品質管理を適切に行うために必要と認められる場合

二 バリデーションの計画及び結果を、品質保証に係る業務を担当する組織に対して文書により報告すること。

2 製造業者等は、前項第一号のバリデーションの結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置をとるとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管しなければならない。

(令三厚労令九〇・一部改正)

例えば、製造工程で、原料の搬送や検査後の良否判定などにロボットを導入したとします。この場合、それが製品品質に大きな影響を及ぼす変更に該当することがあります。

そのため、バリデーションの実施が求められます。

ロボットシステムはその自由度の高さから、従来は人手で行われていた作業工程への導入が進んでいます。例えば、製品を積み付ける「ロボットパレタイズシステム」などがその一例です。

このように、製造や検査など医薬品の品質に直接関わらないと考えられる設備であっても、製造管理および品質管理の適正な実施のために必要と認められる場合には、バリデーションの対象となることがあります。

ロボットシステム導入時におけるバリデーションの事例

医薬品バルク製品の段ボールパレタイジングロボット

※本画像はイメージ画像となっております。

医薬品のバルク製品(中間製品)を梱包した段ボールを、パレットに積み付ける協働ロボットです。

作業者が段ボールを所定の位置に供給し、ロボットが指定の積層パターンに従って安全かつ効率的にパレタイズを行います。

製品識別・ロット管理の正確性が求められるため、ロボットの動作精度、積付け順序、トレーサビリティ機能を含めたバリデーションを導入時に実施しました。

■ IQ(据付時適格性確認)

据置されるロボットシステムが設計通りの構成で設置されているか、電源・エアー供給・固定方法・安全柵等が仕様通りかを確認しました。

■ OQ(運転時適格性確認)
動作内容がプログラム通りであるか、エラー発生時に正しい挙動‧警告が出るか、トレーサビリティ機能が動作するかを1つ1つ確認しました。

医薬品ラベル貼付後の画像検査ロボット

医薬品ラベルの画像検査ロボット
※本画像は、イメージ画像となっております。

医薬品パッケージにラベルを貼付した後、そのラベル内容を画像認識で検査する協働ロボットです。

ロボットが製品をカメラ下に搬送し、ラベルの印字内容、位置ずれ、汚れなどを自動でチェックします。

誤表示による出荷リスクを回避するため、高精度な画像処理と共に、システム導入時に厳格なバリデーションが行われました。

■ IQ(据付時適格性確認)

ロボットのカメラ・照明装置・搬送システムが設計図通りに設置されているか、電源・エアー供給状況、取付角度や高さなどが仕様と一致しているかを確認しました。

据付時適格性確認においてのバリデーション

■ OQ(運転時適格性確認)

システムが設定通りに作動するか、ラベルの検査精度や誤検出防止機能が正常に動作するか、エラー発生時のアラート動作などを検証しました。

運転時適格性確認をした際のバリデーション

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