JR九州エンジニアリングは、新幹線の部品交換に協働ロボットを導入しました。この導入により、すり板の交換や研磨作業が自動化し、省力化と効率化を図っています。
今回は、協働ロボット導入の背景や自動化内容、導入による効果について解説します。
目次[]
協働ロボットの導入
導入の背景
JR九州エンジニアリング株式会社はJR九州の子会社で、鉄道関係のメンテナンス事業を展開している会社です。
そんな、JR九州エンジニアリングでは、粉塵作業や業務の属人化が問題になっており、対策が急務となっていました。また、西九州新幹線の開業も控えており、業務量の増加が見込まれていました。これに対応するため、2020年から新幹線車両の整備作業にロボットを導入し始めました。
すり板交換作業の自動化
すり板交換の頻度と必要性
新幹線のすり板は架線と接触する部分であり、摩耗が激しいため、1〜2週間に1度の頻度で交換が必要です。JR九州エンジニアリングでは、年間約1500枚のすり板を交換していました。
そこで、協働ロボットを用いたすり板交換の自動化に取り組みました。
人間と協働ロボットの協働作業プロセス
新品のすり板は人間が配置し、ロボットがボルトで固定します。まず、ロボットが仮締めを行い、その後、人間がスペーサの位置を微調整します。最終的に、ロボットが本締めを行うことで、確実な固定が実現します。
ボルトの仮締めはロボットが行い、微調整は人間が担当します。その後、再度ロボットが本締めを行うことで、精度の高い作業が可能となります。これにより、作業の効率化と品質向上が実現しました。
研磨作業の自動化
研磨の必要性と従来の手動作業
すり板の表面には凹凸があり、このままでは架線を傷つける恐れがあります。従来、この研磨作業は人間が手動で行っていましたが、労力と時間がかかる上、精度のばらつきが問題でした。
そこで、研磨作業も協働ロボットにより自動化されました。ロボットはすり板の凹凸を滑らかにするために、力覚センサを用いて研磨作業を行います。これにより、一定の力で均一に研磨することが可能となり、作業品質が向上しました。
その他のロボット活用事例
①ブレーキディスク固定用ボルトの検査自動化
JR九州エンジニアリングでは、すり板の交換作業以外にもロボットを活用しています。例えば、車輪にあるブレーキディスク固定用ボルトの検査作業を自動化しています。この作業では年間1万4000本のボルトを検査するため、ロボットの導入により大幅な効率化ができました。
さらに、超音波式計測装置を用いて、ボルトの締め付け後の軸力も計測しています。これにより、締め付けトルクだけでなく、軸力も管理することができ、安全性が向上しています。
②塗装作業の自動化
新幹線の台車部品の塗装作業もロボットによって自動化されました。従来、手作業で行っていた塗装作業がロボットによる自動化により、効率化と品質向上が実現しました。
協働ロボット導入の効果
作業時間の削減と労働環境の改善
協働ロボットの導入により、年間約1600時間分の作業が削減されました。また、粉じんが発生する研磨作業から従業員を解放することができ、労働環境が大幅に改善されました。
生産性向上と品質管理の強化
ロボットの導入により、生産性が向上し、作業の精度も向上しました。これにより、品質管理が強化され、安定した品質の製品を提供することが可能となりました。
まとめ
JR九州エンジニアリングは、協働ロボットを導入することで、新幹線の部品交換と研磨作業を効率化し、省力化と作業環境の改善を実現しました。この取り組みは、人手不足や業務量の増加に対応し、生産性向上と品質管理の強化に大いに貢献しています。今後もロボット技術の活用により、更なる効率化と品質向上が期待できます。
参考文献
iCOM技研の取り組み
iCOM技研はSIer事業を展開しており、協働ロボットシステムの導入を行っています。弊社は、協働ロボットの販売からソフトウェア開発、ロボットスクールまで行っています。2024年からAI開発にも取り組み始めました。
パレタイザー資料パッケージ
協働ロボットを用いたパレタイジングパッケージについて紹介します!
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