近年では、食品業界や製造業界での異物検査を機械による自動化を行う動きが盛んになっています。カメラ、AIを用いたこの工程について、現状の課題とソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(SSS)の取り組むソリューションを紹介していきたいと思います。
異物検査とは?
製品や工程中に混入する可能性のある異物を検出し、製品の純度や品質を保つことを目的とする工程です。製品に含まれるべきでない異物(ゴミ、ホコリ、金属片など)が存在するかどうかを確認します。
異物検査の現状
目視検査
人の目による異物検査。目視できる異物に柔軟に対応できるが、小さい異物の見逃しや長時間作業の疲労によるヒューマンエラーなどが起きやすい。
金属探知機やX線検査
金属片などの異物を特定できる検査方法。密度の異なる製品の検出もできる。プラスチック片や繊維などの低密度異物の検出に向いていない。設備導入のコストが高く検査速度にも課題がある。
画像処理、AI検査
形状や色による判別ができ、自動検出に多く用いられています。対象ごとの学習や設定にコストや時間がかかる。また、カメラ性能の依存度が高い。
従来技術の課題
従来の分光カメラは、プリズムや回折格子を用いて光を分光するため、高価で大型になる傾向があります。このため、導入コストや設置スペースの問題が生じていました。しかし、SSSはこの課題に対して新しいアプローチを提案しています。
普及型分光カメラによるソリューション
SSSが開発している普及型分光カメラには、SWIR(Short-Wave Infrared)イメージセンサーが使用されています。このセンサーは、可視光を含む0.4μm~1.7μmの幅広い波長を捉えることができ、高い解像度で異物を検出することが可能です。SWIRイメージセンサーは、食品中の異物の特性を見極めるのに非常に効果的です。
普及型分光カメラの利点
このカメラがもたらす利点として、コスト削減や導入の容易さがあります。従来の分光カメラに比べ、より小型で安価なシステムは、様々な製造環境に適応しやすく、異物検査のプロセスを効率化します。
実用例
SSSが行った実験では、クルミの殻を除去する過程において、普及型分光カメラがどのように役立つかを検証しました。一般的なカラーカメラでは、クルミの実と殻の色が似ているため、識別が困難ですが、普及型分光カメラを使用することで、特定の波長で撮影し、異物を明確に識別することができました。このように、分光カメラは異物検査において非常に効果的です。
まとめ
ソニーセミコンダクタソリューションズが開発している普及型分光カメラは、食品製造業界における異物検査の新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。さらに、協働ロボットの画像処理に必要なカメラとしての活用も期待でき、低価格で小型のシステムは、導入しやすく、さまざまなユースケースに対応できるため、今後の展望が非常に楽しみです。
参考文献
iCOM技研の取り組み
iCOM技研はSIer事業を展開しており、協働ロボットシステムの導入を行っています。弊社は、協働ロボットの販売からソフトウェア開発、ロボットスクールまで行っています。2024年からAI開発にも取り組み始めました。
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