中小製造業の現場では、深刻な人手不足と技術継承の課題が顕在化しています。特に溶接分野では、高温・高リスク・高精度が求められるにもかかわらず、若手人材の確保が難しくなっています。
「ロボットによる自動化」と聞くと、多くの方が「高額」「設置が大がかり」「うちには合わない」と思いがちですが、その固定観念を覆す選択肢がFAIRINO協働ロボットです。
しかし、FAIRINO製の協働ロボットなら、そのハードルを大きく下げることができます。今回は、FAIRINOを用いた溶接について詳しく解説していきます。

FAIRINO溶接カタログ
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FAIRINOとは何か?―中国発の“実用主義”ロボットメーカー
FAIRINOは中国で設立され、急成長を遂げた協働ロボットメーカーで、現在は9機種(FR3〜FR30)のラインナップを展開しています。
FRシリーズはISO 9001を取得した自社工場で生産され、以下の国際機能安全規格に準拠しています:
- ISO 10218:産業用ロボットの安全要件
- ISO 13849:制御システムの機能安全
- ISO 15066:協働ロボットにおける人との接触基準
これにより、グローバル基準の品質と安全性を確保しています。
FAIRINOの可搬重量と精度で選べるラインナップ
可搬重量3kgから30kgまでの全9モデルで構成されています。そのため、作業範囲や精度、ロボットの設置条件に応じて最適な選択が可能です。
機種 | 可搬重量 | リーチ | 繰返し精度 | 推奨用途 |
---|---|---|---|---|
FR3 | 3kg | 600mm | ±0.02mm | 精密部品溶接 |
FR5 | 5kg | 900mm | ±0.02mm | 車体部品溶接 |
FR10 | 10kg | 1300mm | ±0.02mm | 多品種溶接 |
FR20 | 20kg | 1500mm | ±0.05mm | 大型部品仮付け |
FR30 | 30kg | 1700mm | ±0.05mm | 屋外構造物溶接 |
FR5/FR10あたりが溶接用途に最適です。いずれも6自由度の回転軸を持ち、±0.02〜±0.05mmの高精度で繰返し動作が可能です。
FAIRINOロボットの主要溶接機能
FAIRINOの溶接ロボットは、多様な現場に対応する高度な機能を搭載しており、精密で安定した溶接作業を実現します。以下に4つの主要機能をご紹介します。
スイング溶接

複雑な溶接軌道に対応するため、以下のような多様なスイングパターンをサポートしています:
- 三角波スイング
- 垂直L字型スイング
- 三角形スイング
- 円形スイング
- 斜め鋸歯状スイング
- 正弦波スイング
これにより、ワーク形状や溶接要求に応じた最適な動作が可能です。ソフトウェア上では、命令カードや編集機能を使ってスイング動作の詳細設定が行えます。
アークトラッキング


アークトラッキングは、アーク溶接中にトーチと溶接継ぎ目のズレをリアルタイムで補正する機能です。直角・U型・V型などの継ぎ目形状にも対応し、アーク電流と電圧から位置関係を演算して軌道を調整。これにより、高い位置精度と安定した溶接品質が保たれます。
溶接ワイヤー位置トラッキング

ワイヤーと部品が接触した際の電気信号を検出し、実際のワーク上の溶接開始点(ボーダー)を特定する機能です。ティーチング後はロボットが自動で境界を認識・記録するため、位置ずれのない正確な溶接をサポートします。
溶接中断の回復

万一の衝撃や意図的な中断が発生した場合でも、ロボットは中断位置からアークを再開できます。再開時には前回の溶接終了点に正確に重ねて溶接を再開し、品質のばらつきを防止します。これにより、作業の中断によるロスを最小限に抑えられます。
iCOM技研による導入サポート|導入の「壁」を取り除く
FAIRINOロボットの導入に不安がある方でも、iCOM技研による以下のサポート体制で安心です。
- 使用目的に合ったモデル選定のコンサルティング
- 導入前の実機デモ・試溶接テストで効果を可視化
- ロボット操作教育、安全指導まで含めた現場立ち上げ支援
- ロボット溶接システム全体の提案(溶接電源・治具含む)