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はじめに
最近、HEBI Roboticsに関する記事を読み、彼らが提供するモジュール製品の革新性と可能性を感じました。キーワードは「ビルディングブロックツール」です。HEBI Roboticsは、ヘビ型ロボットの研究からスタートして現在では多様なロボットを構成可能にするモジュール製品を提供しています。この技術の強みと、関連するモジュールについて紹介していきたいと思います。
ビルディングブロックツールとは
システムをいくつかの構成要素に分解して、必要となる各構成要素を積み重ねることで全体的なシステムの構築、増設を行う方式のことです。
目的に合わせた組み合わせを自由自在に行えることで、ユーザのニーズを満たします。
ビルディングロボットツールメーカー「HEBI Robotics 」とは
2014年にカーネギーメロン大学のロボット工学研究室から始まりました。ヘビ型ロボットの研究から発展し、現在のモジュール開発に至ります。企業の特徴として、アクチュエータやアームを組み合わせて多様なロボットを構築できる万能性を持っています。
HEBI Roboticsの技術とその強み
モジュール構造の柔軟性
HEBI Roboticsの最も注目すべき点は、そのモジュール構造の柔軟性です。彼らのアクチュエータは、高度な制御技術と互換性を備えており、迅速かつ実践的にロボットの動作を生み出すことができます。このモジュール構造により、特定の用途に合わせたカスタマイズが容易になります。私たちが開発する協働ロボットにおいても、柔軟性は非常に重要です。異なる業務や環境に対応するためには、モジュール構造が鍵となります。
高性能アクチュエータ
HEBI Roboticsのアクチュエータは、モーター、ギア、直列弾性要素、エンコーダー、IMU、加速度計、マイクロプロセッサなどを組み込んだ高品質なものであり、各アクチュエータの位置、トルク、速度を同時に制御できます。これは、協働ロボットが人間と安全に、かつ効率的に協働するためには不可欠な機能です。特に直列弾性要素は、人間のいる環境で安全に動作するための重要な要素であり、HEBI Roboticsの技術はその点でも大いに参考になります。
産業界への応用
HEBI Roboticsの製品は、検査・メンテナンス業界において活用されています。私たちの協働ロボットも、多様な産業界のニーズに応えるために、HEBI Roboticsの技術を参考にすることができるでしょう。例えば、狭い箇所にセンサを届かせる必要のある環境では、HEBIの精密でトルクの強いアクチュエータが大いに役立ちます。用途によって組み合わせることができる、ビルディングブロックツールとしての機能はマルチに対応する協働ロボットには欠かせない要素の一つです。
日本企業の取り組み
HEBI Roboticsのアクチュエータのほかに、ビルディングブロックツールの開発に取り組んでいる日本企業を紹介します。
株式会社ニコン
協働ロボットの関節ユニットとしてロボットアームと組み合わせることにより、ロボットの設計ノウハウを持たないエンジニアの方でも自由かつ簡単にロボットシステムをつくることができます。また、汎用性が高く、ロボット関節のみならず、半導体製造装置や工作機械、計測器、搬送機器などの高い停止精度や加工精度等が必要とされるパーツに使用することも可能です
THK
ロボットに必要なメカ機能がすべて備わった関節モジュールで、アーム部品や直動モジュールを自由自在に組合わせることで幅広いユーザのニーズにマッチします。多様化するロボット産業にある、ロボットがハイスペックゆえの問題であったり、仕様要求を満たせずに大掛かりな改造の必要性を解決するモジュールになっています。
将来の展望
プログラミング不要のロボット
エンドユーザの負荷を減らすために、プログラミングレス・ティーチングレスなロボットが必要とされています。
HEBI Roboticsは、将来的には誰でもすぐにロボットを作れる強力なソフトウェアツールを提供したいと考えています。私たちも、協働ロボットがより多くのユーザーにとってアクセスしやすくなるよう、ティーチングレスやAIを活用したビジョンシステムの開発に取り組んでいます。これにより、エンドユーザーが簡単に操作できるロボットが実現し、多様な現場での活用が進むでしょう。
研究コミュニティとの連携
現在、HEBI RoboticsはNASAやFacebook AI、ワシントン大学など世界中の研究機関と連携しており、その製品は研究者たちに高く評価されています。協働ロボットの開発においても、研究者たちとの連携は重要であり、HEBI Roboticsのような柔軟なプラットフォームを活用することで、より革新的なソリューションを生み出すことが可能になります。
結論
HEBI Roboticsの革新的な技術とその進化の道のりは、協働ロボットの開発において多くの示唆を与えてくれます。柔軟なモジュール構造、高性能アクチュエータ、研究コミュニティとの連携など、彼らの取り組みから学ぶことは多いです。私たちもこれらの技術を活用し、より多くの現場で活躍する協働ロボットを開発していきたいと考えています。
iCOM技研の取り組み
iCOM技研はSIer事業を行っており、協働ロボットシステムの導入を行っています。弊社は、協働ロボットの販売からソフトウェア開発、ロボットスクールまで行っています
今回は協働ロボットに関連した次世代ロボットについて紹介しました。今後の方針としては、ティーチングレス化された協働ロボットシステムを開発し、製造業の人材不足を解消する製品を生み出していく予定です。