「関西物流展」は、関西を代表する物流業界向けの専門展示会です。第6回目の開催となる今回は、インテックス大阪で4月9日~11日に開催されました。約400社が集い物流DX化に向け様々な視点からシステムの提案が行われました。
近年、物流の自動化は2つの軸による進化が同時に進んでいます。1つは大規模な自動倉庫による全体最適化です。もう1つは現場のニーズに応じた柔軟な自動化対応です。
本記事では、入出庫保管、出荷、パレタイジング、そして個別ソリューションという4つの視点から、会場で特に注目された展示や技術をご紹介します。物流現場の課題に向き合う皆様にとって、導入のヒントとなる内容をお届けします。
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はじめに|関西物流展とは?

関西物流展は、物流の入出荷・保管・搬送・仕分けといったあらゆる工程に対応する製品や技術が集結します。
倉庫・工場の自動化をテーマに、AGV、AMR、協働ロボット、パレタイジング装置、作業支援ツール、そして物流DXを支えるソフトウェアまで、幅広い分野の最新技術が披露されました。
また、物流業界が直面する課題に対して省人化・省力化を実現する現場ソリューションが注目されています。製造・流通・ECなど多様な業種からの来場が見られました。会場では実機デモを通じて、「導入後の現場イメージ」が具体的に描ける提案が多数見受けられました。
入出庫・保管(自動倉庫)
自動倉庫とは、一般的に人の手で行っている入出庫、保管、仕分けといった一連の作業工程を自動化する設備を指します。
自動倉庫は、一般的に荷物を保管するラック(棚)と、荷物を入出庫用のワークステーションに搬送する装置、それらを制御するシステムで構成されています。自動倉庫内に荷物を保管する際は、ワークステーションより入庫された荷物を搬送装置が指定の位置まで運び、格納します。
Auto Store System
Service Towerの特徴
- メザニンラックの設置が不要
従来必要だった二階建てのラック(メザニンラック)を使わずに済む構造のため、設備費用を削減。- 設備面積の最小化
省スペース設計で、限られた空間にも導入しやすく、メザニンラック下の未活用スペースを有効活用。- 業務プロセスの最適化
保管・ピッキング・メンテナンスなどの各工程を効率化し、運用の標準化を支援。- 高いROI(投資対効果)
低コストで導入できるうえに、保管効率や作業効率が向上し、費用対効果が高い。
そのにも、食料品や医薬品といった温度管理が必要な製品に対応したシステムもある。
ラピュタASRS
- 形状が自在
独自のブロック構造で、柱・梁を避けた設置が可能
フロア間や防火区画をまたいだ構築が可能- 用途が自在
DC型・TC型倉庫、生産ライン供給、アセンブリ対応
倉庫用途以外にも多用途で活用可能- 規模が自在
稼働を止めずに段階的な導入・拡張が可能
スモールスタートで自動化を始められる- 移設が自在
アンカーレス構造で据え置き型、移設が容易
耐震構造により安全性にも配慮
工程間搬送AMR
AMRとは?
AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)は、物流倉庫や工場などで物を運ぶために使われるロボットの一種です。
AGVとの違いは?
従来使われてきたAGV(無人搬送車)との大きな違いは、誘導体(床のマグネットテープなど)が不要である点です。
- AGVは、あらかじめ決められたルートを走行します。ルート上に障害物があると、その場で止まり、動けなくなります。
- AMRは、センサーやカメラを使って自分の位置を把握し、目的地までのルートをその場で自動計算します。障害物があっても、それを避けて進むことが可能です。
人との協働も可能
AMRは人と同じスペースで動くことができ、人や障害物の動きをリアルタイムで避けながら安全に作業できます。そのため、作業者と一緒に動きながら効率よく物を運ぶといった使い方も可能です。
浜田製作所(株)LexxPluss
特徴
- LexxTugを利用する事で、かご台車などの汎用台車を無改造で500kgまで自動搬送可能
- 床のマーカーを目印として台車にアクセスする。
基本仕様
項目 | 内容 |
---|---|
最大牽引能力 | 500 kg |
台車の改造 | 不要 |
代表的な牽引台車 | – かご台車(小型):W800 x D600 x H1700 mm – かご台車(大型):W1100 x D800 x H1700 mm – 6輪台車:W1260 x D425 x H1520 mm ※1 |
自動連結機能 | 所定の場所に置かれた台車を自動的に牽引する機能 |
自動連結解除機能 | 指定された搬送先に台車を停め、台車を自動的に切り離す機能 |
安全機能 | – 緊急停止ボタン(追加搭載) – 台車検知機能(追加搭載) |
大喜産業(株)MiR250 Hook
特徴
- 台車に専用バーを取り付け、AMRがつかみに行く仕様
- LexxPlussのシステムと大きく異なる部分は、ArUcoマーカーにより台車を認識。ズレがあっても正確につかみに行くことが可能。また、マーカーから台車を搬送する場所の情報も獲得することができる。

MiR250 Hook
MiR250 Hookの基本スペックについて分かる資料を準備いたしましたのでご活用ください。
出荷・積み込み作業におけるAGF(自動フォークリフト)の活用
AGFとは、Automated Guided Forkliftの略で、コンピュータ制御により無人で搬送するフォークリフトを指します。用途として、工程間搬送、入出庫、積み降ろしなどの自動化が挙げられます。
また、AGFは、AGVのようにルート上に人間がいたり障害物があったりすると停止することはなく、自動で回避して走行できます。
LINX AGF
カウンター式1500kg 仕様(Counter Type 1500kgSpecifications)
項目 | 内容 |
---|---|
タイプ | カウンター式 |
寸法 | 1112×2472×2259mm |
可搬重量 | 1500kg |
回転直径 | 2624mm |
最大速度 | 1500 mm/s(非搬送) |
停止位置精度 | ±10mm(SLAM) |
停止角精度 | ±1°(SLAM) |
障害物検知センサー | LiDAR、カメラ、光電センサー |
非常停止ボタン | 有り |
稼働時間 | 8時間 |
充電時間 | 2時間 |
動作温度 | 0℃~40℃ |
ラピュタAGF
自動化が難しいトラックへの積み降ろし作業は限りあるフォークリフト運転者が担当する。簡単な工程間移動やその他棚への搬送などは、AGFで行う。それにより、限られた人材で多くの作業を行う事ができると考える。

製品のスペック等は、Rapyuta Robotics 株式会社にお問い合わせください。
関西物流展におけるその他個別ソリューション
EXEDY(株式会社エクセディ)電動アシストタガー


かご台車やカートの運搬を電動アシストする製品です。半自動化で作業者の負担を軽減することも人員確保において重要です。全自動化には、おおきな費用が必要です。こうした、半自動製品は初期費用を抑えることができます。
特徴
- 牽引力の2/3をアシスト
- 手を離すと自動ブレーキ
- 滑らかなアシスト発進と停止
iCOM技研が提案する物流のDX化

「小さく導入、大きく自動化」
弊社の協働ロボットシステムは、既存設備にプラスで導入していただくことが可能です。自動倉庫などに比べ一見小さな自動化に見えますが、導入効果は非常に大きいと言えます。
また、設備間の狭いスペースで導入することが可能です。また、人にぶつかっても止まる高い安全性も魅力の一つと言えます。
「高く積める、だから選ばれる」
弊社の標準パッケージシステムは、2200mmの高さに積み付けを行う事ができます。他社標準システムは190mmであるため昨今の物流コスト高騰への対策としても有効であると考えます。
一般的な男性の場合、重さにもよりますが肩までの高さまで積み付けを行うことができます。人が積み付けた場合の高さとしては一般的に約150cmと言われています。

しかし、トラックの内高は2.6mあり、輸送効率を上げるためには2m以上積めるだけ積む必要があります。人の手による積み付けでは2m以上積むことはできません。

積み付けの高さ(150cm)と(230cm) の2パターンを比較
100cm × 1100cm のパレットに段ボールを積み付けるとします。使用する段ボールのサイズは縦20cm × 横30cm × 高さ15cmであり、パレットの4辺にはそれぞれ20cmの余白を設けます。
1.5m積み上げ(150cm ÷ 15cm = 10段)
→ 1,855 × 10 = 18,550個2.3m積み上げ(230cm ÷ 15cm = 15段)
→ 1,855 × 15 = 27,825個2.3m積み上げ時の総積載個数は1.5m積み上げ時の 1.5倍 になります。
積み上げ高さを増やすことで、1回の搬送あたりの効率を向上させることができるため、物流コストの削減にも大きく貢献します。
「誰でも使える、だから選ばれる」
弊社は、ソフトウェアまで自社開発しております。iCOM技研は、「現場を知る」SIerです。高い性能とそれを使いこなす人が居てこその自動化設備と言えます。
また、iCOM技研では、特別教育・ロボット体験会を含むロボットスクールを自社開校しております。「使いこなす」ためのサポートも充実しているため、安心して導入していただくことが可能です。
関西物流展まとめ|部分最適から全体最適へ。進化する物流現場
関西物流展を通じて見えてきたのは、物流の現場では「大規模な全体最適」と「柔軟な現場改善」の両方が求められているという現実です。
AGVや自動倉庫といった大掛かりな仕組みにより、物流全体の効率化を図る動きが進む一方で、各現場では即戦力となる装置の導入が急務となっています。
そこで注目されているのが、柔軟に導入できる装置です。弊社の協働ロボットは、既存設備への後付けが可能です。また、他社標準システム1900mmに対して最大2200mmの高積みにも対応できます。この特徴により、スペースに制約のある現場であっても、最大限の積載効率を発揮することが可能です。そのため、多くのユーザーから高く評価されています。
今後は、規模の大小に関わらず、「適切な自動化設備の導入」が求められると考えます。今回の関西物流展が、皆様の次なる現場改革のきっかけとなれば幸いです。

パレタイザー標準パッケージ総合カタログ
弊社の協働ロボット標準パレタイザーシステムをまとめましたのでご活用下さい。