近年、物流業界や食品業界では、人手不足と業務効率化が大きな課題となっています。その中でも、荷物を積み上げるパレタイズや、積まれた荷物を取り出すデパレタイズの工程は、体力的負担が大きく、作業効率にばらつきが出やすい現場作業です。
そこで注目されているのが、これらの作業を自動化するソリューションです。本記事では、パレタイズ・デパレタイズ自動化の現状、導入することで得られる効果やポイント、さらに今後の展望について解説していきます。
目次[]
パレタイズ・デパレタイズの定義

製造や物流の現場では、出荷や入庫に向けて荷物を効率よく扱うことが求められます。その中でよく使われる専門用語が「パレタイズ」と「デパレタイズ」です。この二つはセットで語られることが多いですが、それぞれどんな意味を持ち、どんな場面で使われるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
パレタイズとは?
パレタイズ(Palletizing)とは、製品や荷物(例:ダンボール箱、袋詰め製品など)を輸送や保管に適した形でパレットに積み付ける作業のことです。
物流倉庫や食品工場では、出荷や入庫に備え、荷物を効率よく整列させて積み込む場面がよく見られます。パレタイズによって、荷物が崩れにくくなり、フォークリフトでそのまま運搬できるため、人手や作業時間を大幅に削減できることが特徴です。
デパレタイズとは?
一方、デパレタイズ(Depalletizing)とは、積み上げられた荷物をパレットから降ろす作業を指します。
製造ラインに原材料や部品を供給する工程や倉庫から出荷準備する場面では、デパレタイズ
パレタイズ・デパレタイズ作業の自動化によって解決できる課題
物流や食品業界では、荷物を積み付けたり降ろしたりする「パレタイズ・デパレタイズ」の工程に、さまざまな課題が存在します。主な課題は以下のとおりです。
- 作業者の負担が大きい
重たい荷物を繰り返し扱うため、腰痛などの労働災害や体力的な負担が増えています。- 人員確保が難しい
人手不足により必要な人員を確保できず、現場が常に人手不足に悩まされています。- ヒューマンエラーの削減
長時間作業による疲労や集中力の低下から、荷物の積み間違いや数量間違いが発生しやすくなります。- 荷崩れや破損のリスク
積み方にばらつきがあると、輸送中に荷崩れや破損が起きる可能性があり、製品ロスやクレームにつながります。- 作業スピードや精度にばらつきが出る
人手作業では個人ごとに作業スピードや積み方が異なり、現場全体の生産性や品質が安定しにくい傾向にあります。これらの課題は、現場の業務効率や安全性に影響するだけでなく、長期的なコスト増加や企業の競争力低下にもつながります。そのため、作業環境の改善が、これらの課題解決に向けた重要なステップとなっています。
導入が意外と難しい理由と、成功のポイント
荷姿のばらつき
- 潰れた箱・不揃いな積み方への対応が必要
- 荷崩れ防止バンドの除去処理も必要な場合あり

導入コスト
- 導入費は数百万円~数千万円(システム構成や所掌範囲に依存)
- 3年以内で投資回収できる事例も多数
成功のポイント
- 3DビジョンとAI制御の精度
- 適切なハンド設計と現場レイアウトへの最適化
導入していない場合のデメリット
慢性的な人手不足が解消しない
高齢化や採用難の影響により、現場の人員確保が一層困難となり、今後は限られた人手で業務を回す必要が高まります。その結果、作業の効率化や生産性向上が求められ、従来以上に一人あたりの業務負担が増していく流れにあります。
経済産業省:2025年ものづくり白書https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/index.html
人件費、物流費用を下げられない
昨今の物価高や最低賃金の上昇により、製造コストや人件費、物流費が全体の収益を圧迫しています。
これらのコストが今後下がる可能性は極めて低く、持続的な利益確保のためには、単なるコスト削減ではなく、生産性向上や業務効率化が不可欠です。
今動いておかないと2030年以降大変なことになります
これまで自動化に取り組んでこなかった企業は、今後その“経験の差”が大きなハンデとなります。
自動化の導入には、現場の理解・運用ノウハウの蓄積・システム定着まで時間と試行錯誤が不可欠です。このまま何も対策を講じなければ、人手不足や高齢化によるダメージを大きく受けて負担が大きくなり、日々の業務を維持することすら困難になる可能性があります。
将来の競争力を確保するには、今すぐにでも自動化への第一歩を踏み出すことが必要です。
よくある質問
Q1. パレタイズとデパレタイズの違いは何ですか?
A. パレタイズは荷物をパレットに積み上げる作業、デパレタイズはパレットから荷物を取り出す作業です。どちらも物流や製造現場で重要な工程です。
Q2. どんな業界で使われていますか?
A. 主に物流業界、食品・飲料業界、製薬業界、化学品業界などで使われています。大量の製品を効率的に扱う必要がある現場で活用されています。
Q3. どのような荷物が対象になりますか?
A. ダンボール箱、プラスチックコンテナ、袋詰め製品、瓶・缶など、形状や重量にかかわらず様々な荷物が対象となります。
Q4. 小規模な現場でも導入できますか?
A. はい、コンパクトな協働ロボットや可搬型のデパレタイズユニットなど、小規模事業者向けのソリューションも増えています。導入の柔軟性は高まっています。
Q8. パレタイズ・デパレタイズの自動化には補助金を使えますか?
A. はい、活用できます。たとえば「中小企業省力化投資補助金」や「物流施設におけるDX推進実証事業」など、パレタイズ・デパレタイズロボットの導入に使える補助金制度があります。