溶接ロボットによる事故

溶接ロボットによる事故

溶接 2024.07.18

溶接ロボットの導入は、多くの製造業者にって生産性向上やコスト削減のための重要な手段となっています。一方で、ロボットによる事故も発生しています。

今回は、溶接ロボットによる事故件数や事故事例、安全性について詳しく解説します。

溶接ロボットによる事故件数

事故の現状

厚生労働省が発表する労働災害発生状況(事故)の推移データ
出典:厚生労働省「令和3年 労働災害発生状況」

上記のグラフを見て理解できるのは、以下の3点です。

  • 死亡者数、死傷者数ともに、長期的に減少傾向である点
  • 死亡者数は平成29年以降減少傾向にあったものの増加に転じた
  • 死傷者数は平成10年以降で過去最多となった

昭和49年からのデータでは、死亡者数・死傷者数は徐々に減少してきました。しかし、平成29年からは再び死傷者数が増加し、令和3年には急増しています。

厚生労働省が発表する労働災害発生状況(事故)のデータ
出典:厚生労働省「令和3年 労働災害発生状況」

上記のグラフは令和3年の労働災害発生状況を表したものです。

死亡災害の16%、労働者死傷病の9%が「はさまれ、巻き込まれ」です。また、死亡災害・死傷病のどちらにも「激突され」「転倒」が多いことがわかります。

もちろん、すべてが産業用ロボットによるものではありません。しかし、実際には産業用ロボットによる事故が増えていることが推測されます。

その理由は、産業用ロボットの導入台数が増加し製造工場では自動化により人員が削減されているのにも関わらず、事故の件数が増加している点です。

溶接ロボットの事故事例

挟まれ事故:
ロボットの可動範囲内に誤って侵入し、ロボットアームに挟まれる事故が多発しています。

衝突事故:
ロボットが予期せぬ動作をした際に作業者に衝突するケースがあります。

メンテナンス中の事故:
ロボットのメンテナンス中に電源を切らずに作業を行い事故になるケースがあります。

具体的な事故事例

産業用ロボットによる挟まれ事故のイメージ画像
挟まれ事故のイメージ画像

事例1:挟まれ事故

安全柵内産業用ロボットの可動領域内で、異常を示した箇所の整備作業をロボットに背を向けた状態で行っていたところ、整備箇所のエラーが解除されたために再起動した産業用ロボットのアームが被災者の背中に激突。そのまま体を押されたことにより、ワーク台とアームに上半身が挟まれた。

溶接ロボットの教示さぎゅちゅうの事故の様子

事例2:教示作業中の事故

溶接ロボットの教示作業を行っていた者が、他の作業者の不安全行動によって負傷したものである。
 Aはロボットの工程連動スイッチを切り、調整作業にかかった。回転テーブルに固定された治具Iの溶接位置の教示によって調整を行うため、共同で作業していたBに回転式テーブルの回転を行うように依頼した。Bは言われたとおり回転テーブルのスイッチをONにし、動かした。教示の手順でスイッチをONにしたまま、回転式テーブルを止め、固定し、Aは作業を続けた。この間Bは他の場所に移っていった。
 一方、反対側で、同じ回転式テーブル上の治具IIの確認作業を行っていた作業者Cは作業の必要上、ロボットの操作スイッチをONにした。すると、Cの思惑とは別に、ロボットだけでなく、回転式テーブルまで動いてしまった。Cは、Aの悲鳴があがったので驚いて関連のスイッチをOFFにしたが、Aはロボットと回転式テーブル上の治具IIIの間に挟まれて、全治2週間の裂傷を負ったものである。

安全性についての取り組み

法規制とガイドライン

産業用ロボットの安全性を確保するために厳しい法規制やガイドラインが策定されています。例えば、ISO 10218-1および10218-2は、ロボットおよびロボットシステムの安全要求事項を定めています。

安全対策の具体例

安全柵の設置:
ロボットの可動範囲内に作業者が入れないようにするための安全柵を設置します。

非常停止ボタンの設置:
ロボットの異常動作時に即座に停止させるための非常停止ボタンを各所に配置します。

センサーの活用:
人がロボットの可動範囲に入った場合に自動停止させるシステムを導入します。

安全性能の高い溶接ロボット

協働ロボットとは

産業用ロボットによる事故が多いため協働ロボットを紹介

協働ロボットは、人とロボットが安全に協働できるように設計されたロボットです。従来の産業用ロボットと異なり、トルクセンサーが内蔵されており、人との接触を感知すると停止する設計となっています。

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協働ロボット溶接システム

協働ロボット溶接システムの画像

協働ロボット溶接システムのメリット

・安全柵を必要としないため非常に省スペースな導入が可能

・トルクセンサーが内蔵されているため衝突を検知すると非常停止する

・ティーチング作業が簡単なため自動化のハードルが低い

結論

産業用ロボットによる溶接の事故は依然として課題が残っています。協働ロボットの導入は、人と安全に協働するための新しい可能性を提供しています。

また、協働ロボットは安全策を必要としないため、省スペースで導入しやすいロボットと言えます。

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