ハイランダーズとは?国産ヒューマノイドロボットの特徴・量産計画・製品ラインナップを解説

ハイランダーズとは?国産ヒューマノイドロボットの特徴・量産計画・製品ラインナップを解説

産業用ロボット 2026.07.10

近年、AIが画面上の情報を処理するだけでなく、ロボットを通じて現実空間で作業する「フィジカルAI」が注目されています。特にヒューマノイドロボットは、人間に近い身体構造を生かし、既存の工場、物流施設、災害現場などでさまざまな作業を行うロボットとして期待されています。

こうしたなか、国産ヒューマノイドロボットの開発と量産に取り組んでいる企業の一つが、株式会社Highlanders(ハイランダーズ)です。

ハイランダーズは、AIによる歩行制御や周辺環境の認識技術を活用し、二足歩行型の「HL Human」と、四足歩行型の「HLQ Air」「HLQ Pro」を開発しています。さらに、2027年を視野に入れたヒューマノイド量産構想も進めており、日本国内におけるヒューマノイドロボットの量産化を担う企業として注目されています。

本記事では、ハイランダーズの企業概要、ヒューマノイドロボットの特徴、製品ラインナップ、量産計画、活用分野、導入前に確認すべきポイントまで詳しく解説します。

※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに作成しています。開発中の製品については、量産時に仕様が変更される可能性があります。

ハイランダーズとは?

ハイランダーズとは?
画像出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC066YP0W6A700C2000000/

株式会社Highlandersは、2023年5月に設立された東京大学発のロボティクスベンチャーです。強化学習や機械学習を活用したロボット制御を強みとし、産業現場で人の代わりに作業できるヒューマノイドロボットや四足歩行ロボットを開発しています。

ハイランダーズが目指しているのは、単に人型のロボットを動かすことではありません。

カメラやLiDARから周辺環境を認識し、状況に応じて移動方法や作業方法を判断することで、製造、物流、消防、防災、インフラ点検などの現場業務を自律化することを目指しています。

同社の主な特徴は、次の3点です。

  • 強化学習を活用した歩行・姿勢制御
  • ヒューマノイドと四足歩行ロボットの両方を開発
  • 国内企業との連携によるヒューマノイド量産構想

2025年には四足歩行ロボットのベータ版提供を開始し、二足歩行型ヒューマノイドのプロトタイプも公開しました。開発だけでなく、実証試験、ベータプログラム、量産体制の構築まで進めている点が、ハイランダーズの大きな特徴です。

ハイランダーズが開発するフィジカルAIとは

ハイランダーズは、ロボット技術の中核として「フィジカルAI」を掲げています。フィジカルAIとは、カメラやセンサーから取得した情報をもとに、AIが現実空間の状況を理解し、ロボットの動作につなげる技術です。

生成AIが文章や画像を生成するのに対し、フィジカルAIは、歩く、運ぶ、つかむ、置く、避けるといった物理的な行動を扱います。

従来の産業用ロボットは、あらかじめ設定した位置や軌跡を正確に繰り返すことを得意としています。

一方、ヒューマノイドロボットや四足歩行ロボットが対象とする現場では、床面の段差、障害物、人の移動、ワーク位置のばらつきなど、毎回異なる条件への対応が求められます。

ハイランダーズのロボットでは、機械学習や強化学習を用いて、姿勢の乱れや外乱を補正しながら移動できるように設計されています。これにより、固定された設備だけでは自動化しにくかった、次のような現場への展開が期待されています。

  • 不整地を含む災害現場
  • 設備配置が複雑な工場
  • 作業内容が頻繁に変わる物流施設
  • 階段や段差を含むインフラ設備
  • 人と同じ作業空間を利用する工程

ハイランダーズの製品ラインナップ

ハイランダーズの製品ラインナップ

ハイランダーズは、二足歩行型のヒューマノイドロボットと、用途の異なる2種類の四足歩行ロボットを開発しています。

製品ロボットの種類主な用途
HL Human/HL NINJA二足歩行ヒューマノイド製造、物流、災害対応、軽作業
HLQ Air小型・軽量四足歩行ロボット巡回、点検、研究、狭隘部調査
HLQ Pro重荷重対応四足歩行ロボット重量物搬送、消防、防災、プラント

HL Human(HL NINJA)|産業現場向けヒューマノイドロボット

HL Human(HL NINJA)|産業現場向けヒューマノイドロボット
画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000156831.html

HL Humanは、ハイランダーズが開発する二足歩行型のヒューマノイドロボットです。また、HL NINJAという名称でも紹介されており、2025年6月にプロトタイプが公開されました。

人間に近い身体構造を持ち、工場や物流施設、災害現場などで、人が使用している設備や通路を大きく変更せずに利用できるロボットを目指しています。

HL Humanの主な仕様

項目内容
製品名HL Human/HL NINJA
ロボット形式二足歩行ヒューマノイド
全高約1.4m
自由度19自由度
腕の自由度左右各4自由度
最大把持重量最大3kg(5指ハンド使用時)
自律歩行速度約3km/h
給電系統48V給電バス
開発状況プロトタイプ・ベータ提供段階

HLQ Air|小型・軽量の四足歩行ロボット

HLQ Air|小型・軽量の四足歩行ロボット
画像出典https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000156831.html

HLQ Airは、小型・軽量設計を特徴とする四足歩行ロボットです。質量は約8.5kgで、持ち運びやすく、狭い場所での巡回、設備点検、研究開発などへの活用を想定しています。

四足歩行方式は、車輪型の移動ロボットと比べて、段差や傾斜、凹凸のある場所を移動しやすい点が特長です。

HLQ Airは、最大30cmの段差と35度の傾斜に対応するとされており、一般的な平坦路だけでなく、不整地や階段周辺での利用も視野に入れています。

HLQ Airの主な仕様

項目内容
製品名HLQ Air
ロボット形式小型四足歩行ロボット
高さ約150mm(待機時)
質量約8.5kg
最高移動速度平均約3.0m/s
最大積載重量約3.5kg(徐歩時)
バッテリー静止時最大約90分
歩行時稼働時間約25分
段差踏破性能最大約30cm
対応傾斜最大約35度

詳しいスペックについては公式ページをご参照ください。

HLQ Pro|重量物搬送に対応する四足歩行ロボット

HLQ Pro|重量物搬送に対応する四足歩行ロボット
画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000156831.html

HLQ Proは、消防、防災、化学プラント、インフラ設備などでの重量物搬送を想定した四足歩行ロボットです。また、HLQ Airよりも大型で、質量は約60kg、最大20kgまでの積載に対応します。

高出力アクチュエータと堅牢なフレームを採用し、資材、救助機材、測定装置、センサーなどを載せて移動する用途を想定しています。連続稼働時間は約4時間とされており、一定時間の巡回や搬送作業にも対応しやすい構成です。

HLQ Proの主な仕様

項目内容
製品名HLQ Pro
ロボット形式重荷重対応四足歩行ロボット
高さ約980mm(起立時)
質量約60kg
最高移動速度約2.5m/s
最大積載重量約20kg
連続稼働時間約4時間
段差踏破性能最大約30cm
対応傾斜最大約35度
センサーLiDAR、3Dカメラ
通信IEEE 802.11b/g/n、2.4GHz
主な用途消防、防災、プラント、重量物搬送

HL Human・HLQ Air・HLQ Proの違い

ハイランダーズHL Human・HLQ Air・HLQ Proの違い
Male businesspersons who think in terms of comparing A and B.

3機種は、同じロボットでありながら目的が大きく異なります。

比較項目HL HumanHLQ AirHLQ Pro
形態二足歩行四足歩行四足歩行
主な役割人に近い作業小型点検・巡回重量物搬送
全高約1.4m約150mm約980mm
質量未公表約8.5kg約60kg
可搬・積載最大3kg最大3.5kg最大20kg
速度約3km/h約3.0m/s約2.5m/s
稼働時間未公表歩行時約25分約4時間
想定現場工場、物流、災害対応研究、狭隘部、巡回消防、プラント、防災

ハイランダーズのヒューマノイド量産計画

ハイランダーズのヒューマノイド量産計画
画像出典:https://www.autocar.jp/post/1260079

ハイランダーズが注目される大きな理由の一つが、ヒューマノイド量産に向けた具体的な計画を進めている点です。

ヒューマノイドロボットは、研究開発用の試作機を1台製造することと、同じ品質の機体を継続的に量産することでは、求められる技術が大きく異なります。

ハイランダーズは2026年5月、ヒューマノイド量産化に向けた取り組みを本格化すると発表しました。

さらに2026年7月には、三菱自動車との共同開発および量産化に向けた基本合意を締結し、自動車工場での活用検討と生産体制の構築を進める方針を示しています。計画では、2027年から三菱自動車の京都工場で生産を開始することが検討されています。

量産が実現すれば、日本国内で開発・製造される産業現場向けヒューマノイドとして、製造業、物流業、インフラ分野への普及が進む可能性があります。

なぜヒューマノイド量産に自動車工場が適しているのか

自動車工場には、ロボットを量産するうえで必要となる多くの技術と設備が蓄積されています。例えば、部品調達、組立、締結、配線、塗装、検査、品質管理、トレーサビリティなどです。

ヒューマノイドロボットも、多数のモーター、減速機、センサー、配線、バッテリー、制御装置から構成されるため、自動車製造との共通点があります。

自動車メーカーの生産技術を活用することで、試作中心だったヒューマノイド開発から、一定品質の機体を継続して生産する体制へ移行しやすくなります。

また、製造したヒューマノイドを自動車工場内で実証できる点も大きなメリットです。実際のラインで搬送、部品供給、設備操作、検査補助などを行わせることで、量産機に必要な耐久性、安全性、作業速度を検証できます。

ハイランダーズ製品の商用化状況

ハイランダーズの製品は、現時点では本格販売前のベータテストおよびパートナー導入段階です。HLQ AirとHLQ Proは、2025年からベータ版の提供が始まっており、消防、防災、プラント、インフラ関連の現場で検証が進められています。

HL Humanについても、パートナー企業向けのEarly Accessやベータプログラムを通じて、製造、物流、災害対応などの用途を検証する計画です。

現段階では、一般販売された完成製品というよりも、実際の現場で課題を抽出し、量産機へ反映する開発フェーズと考えるべきです。

販売価格は公表されているのか

HL Human、HLQ Air、HLQ Proの正式な販売価格は公表されていません。ヒューマノイドロボットの価格は、機体本体だけでなく、次の費用を含めて考える必要があります。

  • ロボット本体
  • ハンドやツール
  • カメラ・追加センサー
  • ソフトウェアライセンス
  • 現場向けアプリケーション開発
  • 安全設備
  • 導入テスト
  • 操作教育
  • 保守契約
  • バッテリーや交換部品

量産によって機体価格が下がった場合でも、実際に作業させるためにはシステム構築費用が必要です。

導入を検討する際は、本体価格だけでなく、工程全体を自動化するための総費用で比較する必要があります。

ハイランダーズに関するよくある質問

ハイランダーズに関するよくある質問

Q1. ハイランダーズはどのような会社ですか?

ハイランダーズは、フィジカルAI、強化学習、ロボット制御を活用し、産業現場向けのヒューマノイドロボットと四足歩行ロボットを開発する東大発ベンチャーです。

2023年に設立され、製品開発、ベータ提供、実証試験、量産体制の構築を進めています。

Q2. HL HumanとHL NINJAは別の製品ですか?

公開情報では、HL HumanはHL NINJAという名称でも紹介されています。

開発段階や発表媒体によって名称が異なる可能性があるため、正式な量産製品名については今後の発表を確認する必要があります。

Q3. HL Humanはどのような作業に向いていますか?

部品供給、箱の搬送、棚からの取り出し、設備操作、物流作業、災害現場での作業支援などが想定されています。

特に、人が使用している通路、棚、作業台を活用しながら、複数の場所で異なる作業を行う用途に適しています。

Q4. HL Humanの最大可搬重量は何kgですか?

5指ハンドを使用した場合、最大3kgの把持に対応するとされています。

ただし、実際の搬送重量は、ワーク形状、把持方法、重心、移動速度などによって変わります。

Q5. ハイランダーズのヒューマノイドは量産されていますか?

現時点では、本格的な量産開始前の段階です。

2027年を視野に、国内工場での生産開始が検討されており、現在はプロトタイプ開発、ベータ提供、現場実証、量産準備が進められています。

Q6. 販売価格はいくらですか?

正式な価格は公表されていません。

機体仕様、ハンド、センサー、ソフトウェア、現場向けシステム開発などによって、導入費用は大きく変わると考えられます。

Q7. 人と同じ場所で安全に使用できますか?

HL Humanには、衝突検知、自動停止、人との距離に応じた速度低減などの安全機能が設けられています。

ただし、実際の現場では、作業内容に応じたリスクアセスメントと安全対策が必要です。

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