産業用ロボットの導入は、多くの製造業者にとって生産性向上やコスト削減のための重要な手段となっています。一方で、ロボットによる事故も発生しており、その安全性についての議論が高まっています。
今回は、産業用ロボットによる事故件数や事故事例、安全性について詳しく解説します。
目次[]
産業用ロボットによる事故件数
事故の現状
上記のグラフを見て理解できるのは、以下の3点です。
- 死亡者数、死傷者数ともに、長期的に減少傾向である点
- 死亡者数は平成29年以降減少傾向にあったものの増加に転じた
- 死傷者数は平成10年以降で過去最多となった
昭和49年からのデータでは、死亡者数・死傷者数は徐々に減少してきました。しかし、平成29年からは再び死傷者数が増加し、令和3年には急増しています。
上記のグラフは令和3年の労働災害発生状況を表したものです。
死亡災害の16%、労働者死傷病の9%が「はさまれ、巻き込まれ」です。また、死亡災害・死傷病のどちらにも「激突され」や「転倒」が多いことがわかります。
もちろん、すべてが産業用ロボットによるものではありません。しかし、実際には産業用ロボットによる事故が増えていることが推測されます。
その理由は、産業用ロボットの導入台数が増加し製造工場では自動化により人員が削減されているのにも関わらず、事故の件数が増加している点です。
産業用ロボットの事故事例
挟まれ事故:
ロボットの可動範囲内に誤って侵入し、ロボットアームに挟まれる事故が多発しています。
衝突事故:
ロボットが予期せぬ動作をした際に作業者に衝突するケースがあります。
メンテナンス中の事故:
ロボットのメンテナンス中に電源を切らずに作業を行い事故になるケースがあります。
具体的な事故事例
- 事例1: 大手自動車メーカーの工場で、メンテナンス作業中にロボットアームが突然動作し、作業員が負傷する事故が発生。原因は、メンテナンスモードに切り替える手順が不十分だったことが判明しました。
- 事例2:安全柵内産業用ロボットの可動領域内で、異常を示した箇所の整備作業を産業用ロボットに背を向けた状態で行っていたところ、整備箇所のエラーが解除されたために再起動した産業用ロボットのアームが被災者の背中に激突。そのまま体を押されたことにより、ワーク台とアームに上半身が挟まれた。
安全性についての取り組み
法規制とガイドライン
産業用ロボットの安全性を確保するために厳しい法規制やガイドラインが策定されています。例えば、ISO 10218-1および10218-2は、ロボットおよびロボットシステムの安全要求事項を定めています。
安全対策の具体例
安全柵の設置:
ロボットの可動範囲内に作業者が入れないようにするための安全柵を設置します。
非常停止ボタンの設置:
ロボットの異常動作時に即座に停止させるための非常停止ボタンを各所に配置します。
センサーの活用:
人がロボットの可動範囲に入った場合に自動停止させるシステムを導入します。
安全性能の高い産業用ロボット
協働ロボットとは
協働ロボットは、人とロボットが安全に協働できるように設計されたロボットです。従来の産業用ロボットと異なり、トルクセンサーが内蔵されており、人との接触を感知すると停止する設計となっています。
導入事例
- 自動車部品メーカー: 協働ロボットを導入し、組み立てラインの効率を向上。人とロボットが安全に協力して作業を行うことで、生産性が20%向上しました。
- 食品加工業: 協働ロボットを用いて、繊細な食品のパッケージング作業を自動化。作業員の負担を軽減し、作業の正確性も向上しました。
結論
産業用ロボットによる事故は依然として課題が残っています。協働ロボットの導入は、人と安全に協働するための新しい可能性を提供しています。
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