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産業用ロボットとは?

産業用ロボットとは?

産業用ロボット 2024.06.07

少子高齢化が進む現代日本において、製造業は深刻な人手不足問題に直面しています。人材確保の難しさは、生産性の低下や品質の不安定化にもつながり、企業の競争力低下を招きます。

そんな課題解決の切り札として注目されているのが、産業用ロボットの導入です。

本記事では、産業用ロボット導入のメリットを詳しく解説し、導入事例や導入時の注意点も紹介します。さらに、ロボット導入がもたらす未来への可能性についても考察します。

産業用ロボットの基本知識

産業用ロボットとは?

産業用ロボットとは、自動制御によって動作し、プログラムによって様々な作業を繰り返し行うロボットです。主に製造業の現場で、人の代わりに搬送・加工・組立・溶接・塗装・検査などの作業を自動化するために使用されます。

少子高齢化が進む現代日本において、製造業は深刻な人手不足問題に直面しています。人材確保の難しさは、生産性の低下や品質の不安定化にもつながり、企業の競争力低下を招きます。

産業用ロボットの種類と特徴

産業用ロボットの特徴

一般的に「3軸以上の自由度があり、プログラムによって自動制御可能なマニピュレーションロボット」のことを指します。

自動制御
プログラムによって動作するため、人の指示や操作なしに作業を自動化することができます。                                    

再プログラム性
プログラムを変更することで、様々な作業に対応することができます。

多目的なマニピュレーター
アームやハンドなどの機構を持ち、様々な作業を行うことができます。

3軸以上の関節
先端部を空間上の任意の位置に運ぶためには、3つ以上の関節が必要です。さらに、先端の角度まで考慮すれば、最低でも6つの関節が必要になります。

産業用ロボットの種類

垂直多関節ロボットの画像
現在もっとも活用されている産業用ロボットです。
《引用》https://www.minatohama.co.jp/industry/%E5%9E%82%E7%9B%B4%E5%A4%9A%E9%96%A2%E7%AF%80%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88/

垂直多関節ロボット
軸数: 4~7軸
人間の腕のような形状で自由度が高く、現在もっとも活用されている産業用ロボットです。汎用性が非常に高く、搬送から溶接や塗装、組立まで幅広い工程に導入されていることも特徴です。
ただし、自由度が高い半面、直交型などに比べて機械剛性が低い傾向にあります。そのため高速で動かした場合にオーバーシュートや振動が発生しやすく、緻密な制御が必要です。ロボット先進国の日本では高い制御技術でこれらの課題をクリアしています。

スカラロボットの画像
水平方向にアームが作動する産業用ロボットです。
《引用》https://www.iai-robot.co.jp/product/series/scara.html

スカラロボット
軸数: 3~4軸
水平方向にアームが作動する産業用ロボットです。特徴は、4軸構成で上下方向の剛性が高く、かつ水平方向にやわらかさを持っているため、部品の押し込み作業などに適しています。高速のピック&プレースにも積極的に活用されています。

パラレルリンクロボットの画像
パラレルメカニズム(並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法)を使った産業用ロボットで、主にピック&プレースで活用されています。
《引用》https://www.fa.omron.co.jp/product/special/library/robotics/parallellink/

パラレルリンクロボット
軸数: 4~6軸
パラレルメカニズム(並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法)を使った産業用ロボットで、主にピック&プレースで活用されています。複数モーターの出力を1点に集中させるので、高精度・高出力なことが特徴。そのため、多関節ロボットでは難しいプレス加工にも対応しています。

直交ロボットの画像
単軸直動ユニットを組み合わせたシンプルな機構の産業用ロボットです。
《引用》https://www.yasnaga.co.jp/product/2018/08/post-20.php

直交ロボット
軸数: 2~4軸
単軸直動ユニットを組み合わせたシンプルな機構の産業用ロボットです。直線的な移動のみなので作業は限定されますが、構造がシンプルなぶん設計の自由度が高いことが特徴です。そのため近年では、多関節ロボットと組み合わせて使われるケースが増えています。

導入におけるメリット

産業用ロボットの導入におけるメリットについて連想させる画像

生産効率と品質の向上

産業用ロボットは高精度・高速度な作業を行うことができるため生産性向上を実現します

②人為的ミスの排除による品質安定化
ロボットは、人間によるミスや誤操作の影響を受けません。安定した品質を維持することで、不良品の削減顧客満足度の向上に貢献します。

③データに基づいた品質管理と改善
ロボットは、作業データを収集・分析することで、工程の可視化を実現します。データに基づいた分析により、品質管理の精度向上と工程改善に役立ちます。

④働き方改革と柔軟な生産体制の実現
ロボットは、24時間365日稼働可能です。人手に頼らない生産体制を構築することで、夜勤や休日労働を削減し、働き方改革にも貢献します。人材不足や労働時間制限の影響を受けずに、柔軟な生産体制を実現できます。

コスト削減と競争力強化

人手不足による人件費の高騰は、企業にとって大きな負担です。ロボット導入による人材配置の最適化は、人件費の削減につながり、コストダウンを実現します。

①製造コストの削減
作業に従事している人数を減らすことができ、人件費等の削減が可能です。また、高精度な作業を行うことができるため、材料歩留まりを向上させることができます。材料歩留まりの向上は、材料費の削減につながります。人件費削減や歩留まりの向上により、製造コストを引き下げ利益拡大につなげることができます。

②生産性向上による収益増加
生産量の増加とリードタイムの短縮は、売上増加利益率向上に貢献します。

③競争力強化とグローバル市場への進出
人手不足やコスト競争力といった課題を克服することで、国内外での競争力を強化できます。グローバル市場への進出にも有利です

導入におけるデメリット

産業用ロボットは、人手不足解消や作業効率向上など多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。

①初期投資費用
産業用ロボットを導入するには、ロボット本体、コントローラー、周辺機器など、多額の初期投資が必要です。中小企業にとっては、導入コストが大きな負担となる場合があります。

②保守管理
産業用ロボットは、定期的なメンテナンスや修理が必要となります。専門知識を持った技術者による保守管理体制を構築する必要があります。

産業用ロボットの価格

産業用ロボットにかかる費用を算出している時を連想させる帳簿をつけている場面の画像

産業用ロボット単体の価格はアーム長と可搬重量によって大きく変動しますが、150〜500万円程度です。 しかしロボット単体では生産設備になりません。 付帯設備や設置コストを含めると装置全体のコストはロボットの2〜5倍になります。

<例:ロボットパレタイザーにかかる費用>

本体価格
・周辺機器(架台、ハンド、コンベヤ、安全柵など)
・据付工事費
・安全教育
など

産業用ロボットの安全性

産業用ロボットの安全性について連想させる黄色いヘルメットの画像

産業用ロボットによる事故のリスク

1. 接触・挟まれ
ロボットアームや工具の動きによる接触、作業空間への侵入による挟まれ事故のリスクがあります。
対策
安全柵の設置、作業エリアの明確化、警告灯・警報装置の導入、安全教育の実施

2. 溶接スパッタ・煙・ガス
溶接作業によるスパッタ飛散、煙やガスの発生による火傷、呼吸器障害のリスクがあります。
対策
保護具の着用、換気設備の設置、作業環境の整備

3. その他のリスク
転倒、落下物、火災など、作業環境に潜む様々なリスクがあります。
対策
作業環境の整備、安全意識の向上、リスクアセスメントの実施

安全対策の重要性

事故発生は、人的被害だけでなく、生産停止や損害賠償責任など企業にとっても大きな損失となります。
安全対策は、法令遵守だけでなく、企業の社会的責任として重要です。

求められる安全対策

溶接ロボットの求められる安全対策について連想させるヘルメットを持った人の画像

リスクアセスメントの実施
ロボット導入前に、作業環境や作業内容を分析し、潜在的なリスクを評価

安全対策の徹底
安全柵の設置、安全停止機能の整備、作業員の安全教育など

ロボットの安全規格への適合
ISO 10218-1やISO 15066などの安全規格に適合したロボットを選ぶ

定期的な点検・整備
ロボットの動作確認、安全装置の点検など

導入におけるお悩み事

協働ロボットの導入を検討する際にどのように選定するのか

導入にあたっての条件はクリアできていますか?

前述の通り産業用ロボットには、様々な種類があるため、

「産業用ロボットで本当に省人化・自動化が実現できるのかな・・・」

「自社に合っている産業用ロボットはどの種類かな・・・」

「判断基準が分からず、産業用ロボットの導入を躊躇している・・・」

など、導入前の様々なお悩みがあるかと思います。そこで、導入における主な判断基準をご紹介します。導入の際には、下記に注意しましょう。

新規にロボットを導入する際は、対象となるワーク、設置スペース、動作環境、電源、生産目標といった制約条件を整理しましょう。それらの条件に基づいてロボットのサイズ、精度、速度、可搬重量、コストなどの要求仕様を洗い出し、ロボットを選定します。要求仕様に適合するロボットの候補がなく、設置環境自体を見直さなければならない場合もあります。

産業用ロボットの選定手順

産業用ロボットの種類が変わると、動作性や機能、適応用途、導入コストや安全性が異なります。そのため、産業用ロボットの種類を選択する際には、作業内容、導入コスト、安全性などを考慮する必要があります。

1. 安全性

  • 協働運転中であることを示す視覚表示を備えている
  • 人と衝突した場合でも、人体に重大な危害を加えない設計
  • 緊急停止機能など、安全対策が充実している

2. 作業内容

  • 必要な作業範囲をカバーできる可動範囲を持っている
  • 作業に必要な速度で動作できる
  • 必要な精度で作業できる
  • 必要な可搬重量を持っている
  • 必要な作業工具やエンドエフェクターを取り付けられる

産業用ロボットの導入を検討していく中で協働ロボットのほうがいいというケースが多々あります。自社に合う適切なロボットを選定するためチェックリストをご活用ください。

選定前チェックリストのダウンロードはこちらから

工程の自動化は難しすぎる、と諦める前に。チェックリストを活用して自動化案件の要点を見える化!協働ロボット検討時に必見です!

ダウンロード

くわしくは協働ロボットのブログもまとめておりますのでよろしければご覧ください。

産業用ロボットの紹介

FANUC Robot M-1000iA

日本の産業用ロボットメーカーFANUCのRobot M-1000iA
《引用》https://news.goo.ne.jp/article/newswitch/business/newswitch-39477.html

ファナックは世界でもトップクラスの規模を誇る産業用ロボットメーカーの1つです。

黄色いロボットアームが特徴的で、生産工程の自動化事業(FA事業)を得意としています。多関節ロボットに強みがあり、IoTにも力を入れています。

M-1000iAは、電気自動車の重量バッテリ搬送など、脱炭素社会に向けた製造現場の自動化に貢献する産業用ロボットです。1000kgの重量物を広範囲に搬送可能な圧倒的な力強さと、カメラを用いて0.1mm単位で重量物を正確に取出し、位置決めする繊細さとインテリジェンスを兼ね備えたロボットです。

安川電機 MOTOMANシリーズ

日本の産業用ロボットメーカー株式会社安川電機の産業用ロボッMOTOMANシリーズ
《引用》https://www.e-mechatronics.com/product/robot/paint/lineup/mpx1400/spec.html

安川電機は産業用ロボットの累計台数世界一のロボットメーカーです。溶接や塗装用などさまざまな産業用ロボットを製造しています。

安川電機のMOTOMAN-HC10DTシリーズは6軸垂直多関節のロボットです。安全性を考慮し、アーム部の隙間を確保したことで手や指を挟みこむことがないように設計を行っています。

ABB IRB Series

スイスの産業用ロボットメーカーABBの産業用ロボットIRB Series
《引用》https://www.directindustry.com/ja/prod/abb-robotics/product-30265-2524986.html

ABBはスイスのチューリッヒに本拠を構えるメーカーです。 

最大20%の省エネが可能な高精度大型ロボットの新シリーズ「IRB」を発表しました。「IRB 6710」「IRB 6720」「IRB 6730」「IRB 6740」の4モデル、22のバリエーションを展開しています。

KUKA KR CYBERTECHシリーズ

ドイツの産業用ロボットメーカKUKAのKR CYBERTECHシリーズ
《引用》https://www.kuka.com/ja-jp/%E8%A3%BD%E5%93%81%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0/%E7%94%A3%E6%A5%AD%E7%94%A8%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88/kr-cybertech

KUKAは、中国の美的集団(Midea Group)のっ子会社で、ドイツに本社を置く産業用ロボットおよびファクトリーオートメーション周辺機器の製造メーカーです。

出力密度が高い低可搬量クラスにおいて、世界でも有数の幅広いモデルパレットを提供しています。

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