製品や部品には、長期間使用しても必要な性能を維持できることが求められます。出荷時には正常でも、繰り返し使用することで摩耗や劣化が進むためです。
こうした製品の耐久性を確認するために行われるのが「耐久性テスト」です。製品へ繰り返し動作や荷重を与え、一定時間や一定回数の使用後も性能を維持できるか確認します。
耐久性テストでは、数千回から数万回以上の反復動作が必要になる場合があります。試験内容によっては、数百時間にわたって同じ操作を続けるケースもあります。
そのため、近年では専用試験機だけでなく、産業用ロボットや協働ロボットを使った自動化も行われています。Universal Robotsでは、400時間にわたるライフサイクル試験を自動化した事例もあります。
本記事では、耐久性テストの目的や種類、試験条件の考え方を解説します。さらに、耐久性テストを自動化するメリットや、協働ロボットを活用した実際の事例も紹介します。
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耐久性テストとは

耐久性テストとは、製品や部品へ一定の動作や負荷を繰り返し与え、長期間使用した際の状態を確認する試験です。
実際の使用方法を想定して、一定回数または一定時間の試験を行います。試験後には、性能低下や摩耗、変形、破損などが発生していないか確認します。
例えば、スイッチであれば押下動作を繰り返します。ドアでは開閉、コネクタでは挿入と抜去を繰り返し、想定する使用期間に耐えられるか評価します。
製品によっては、温度、湿度、振動などの環境条件を組み合わせる場合もあります。電気・電子機器では、JIS C 60068シリーズに高温、温湿度、振動、衝撃などの環境試験方法が規定されています。
耐久性テストと耐久試験に違いはある?
「耐久性テスト」「耐久試験」「耐久性試験」は、実務上、近い意味で使用されることがあります。
また、製品を繰り返し作動させて寿命を評価する試験は、「寿命試験」や「ライフサイクル試験」と呼ばれる場合もあります。
重要なのは名称ではなく、何を確認する試験なのかを明確にすることです。対象製品や評価目的によって、試験方法や測定項目は異なります。
耐久性テストに関連する主な規格
耐久性テストの方法や条件は、対象となる製品や部品によって異なります。そのため、すべての製品に共通する一つの耐久性試験規格があるわけではありません。
JIS(日本産業規格)では、家具や建材、電気・電子部品など、対象製品や試験条件ごとに試験方法が定められています。代表的な規格には、次のようなものがあります。
規格 主な対象・試験内容 JIS A 1456 木材・プラスチック再生複合材の耐久性試験 JIS S 1203 いす・スツールの強度、耐久性試験 JIS S 1205 テーブルの強度、耐久性試験 JIS S 1206 オフィス用回転椅子の安定性、強度、耐久性試験 JIS C 60068-2-2 電気・電子製品などの高温試験 JIS C 60068-2-14 温度変化による影響を確認する試験 JIS C 60068-2-21 電気・電子部品の端子強度、部品本体の耐久性試験 JIS C 60068-2-64 電気・電子製品などのランダム振動試験 JIS T 0402 冠動脈ステントの耐久性試験 例えば、JIS S 1203では、いすやスツールの強度と耐久性を評価する試験方法が規定されています。JIS S 1205では、完成したテーブルを対象に強度と耐久性を評価します。
電気・電子分野では、JIS C 60068シリーズが広く利用されています。高温や温度変化、振動などの環境条件を与え、製品や部品が一定の性能を維持できるか評価します。
また、JIS C 60068-2-21のように、端子強度や部品本体の耐久性を対象とした規格もあります。製品分野によっては、JISだけでなくIECやISOなどの国際規格が適用される場合もあります。
耐久性テストを実施する際は、対象製品に該当する規格を確認することが重要です。規格だけでなく、メーカー独自の品質基準や顧客仕様をもとに試験条件を設定する場合もあります。
耐久性テストが必要とされる背景
製品の高機能化や部品構成の複雑化により、長期間使用した際の品質や信頼性を確認する重要性が高まっています。市場では製品寿命や安全性への要求も高く、使用を重ねた後に発生する不具合まで考慮した製品設計が求められています。
また、製品開発では開発期間の短縮が進み、限られた期間で設計変更や性能評価を繰り返す必要があります。市場投入後に不具合が発生すると、修理や交換、設計変更などの負担につながるため、開発段階で問題を把握することが重要です。
耐久性テストでは、繰り返し動作や負荷を与え、想定した使用期間まで必要な性能を維持できるか確認します。さらに、摩耗や性能低下、設計上の弱点を事前に把握し、製品改良や品質向上につなげることができます。
耐久性テストの主な種類

耐久性テストでは、対象製品の使われ方に応じて試験方法を決めます。代表的なものとして、反復動作、挿抜、連続運転、荷重・疲労、環境試験などがあります。
反復動作・開閉耐久テスト
反復動作テストは、スイッチやボタン、ドア、レバーなどを繰り返し操作する試験です。
押す、引く、回す、開閉するといった動作を規定回数繰り返します。試験後には、操作力やガタ、摩耗、破損などを確認します。
自動車のスイッチや家電製品の扉など、人が日常的に繰り返し操作する製品で行われる試験です。
挿抜・着脱耐久テスト
挿抜耐久テストは、コネクタやプラグなどの挿入と抜去を繰り返す試験です。バッテリーや交換式部品の着脱についても、同様の考え方で試験できます。
単純に回数だけを確認するのではなく、挿入力や抜去力の変化を測定する場合もあります。端子やロック機構の摩耗、変形なども確認します。
連続運転・ライフサイクルテスト
連続運転テストは、モーターやポンプ、電気機器などを長時間動作させる試験です。
一定時間動かし続ける方法だけでなく、「運転→停止→運転」というサイクルを繰り返す場合もあります。電流、温度、振動などを測定しながら試験することもあります。
Universal Robotsを導入したScott Fetzer Electrical Groupでは、モーターを1分間運転し、30秒停止するサイクルを400時間繰り返しています。
荷重・疲労テスト
荷重・疲労テストでは、製品や部品に力を繰り返し加えます。
押す、引っ張る、曲げる、ねじるなど、実際の使用条件に近い負荷を与えます。一定回数の負荷を加えた後に、変形や亀裂、破損などを確認します。
材料試験では、繰り返し負荷による疲労特性を評価するISO規格も整備されています。試験条件には、荷重の大きさだけでなく、周波数や負荷方向なども関係します。
温度・湿度による耐久性テスト
製品を高温、低温、高湿度などの環境に置き、性能や部品への影響を確認します。
温度変化を繰り返すことで、材料の膨張や収縮による影響を評価する場合もあります。電子部品や車載部品などでは、実際の使用環境を想定した条件設定が重要です。
JIS C 60068シリーズには、高温、高温高湿、温湿度サイクルなど、さまざまな環境試験方法があります。
振動・衝撃テスト
振動・衝撃テストでは、輸送中や使用中に製品へ加わる振動や衝撃を再現します。
試験後には、部品の破損やねじの緩み、接続不良などを確認します。機械部品、電子機器、車載製品などで使用される試験方法です。
JIS C 60068シリーズには、正弦波振動、ランダム振動、衝撃などの試験方法も規定されています。
耐久性テストを手作業で行う課題

耐久性テストでは、同じ操作を数千回、数万回と繰り返す場合があります。数百時間にわたり、試験を続けなければならないケースもあります。
長時間の反復作業が必要になる
ボタンを数万回押したり、ドアを繰り返し開閉したりする作業は、作業者の負担になります。
試験時間が長くなるほど、担当者を長時間拘束する必要があります。夜間や休日にも試験を続ける場合は、さらに人員を確保しにくくなります。
Universal Robotsも、製品試験は反復性が高く、協働ロボットを活用しやすい作業として紹介しています。
試験条件にばらつきが生じる
手作業では、押す位置や速度、角度、力が少しずつ変わります。試験時間が長くなれば、疲労による動作の変化も発生します。
操作する作業者が変わった場合も、同じ条件を完全に再現することは簡単ではありません。
一定条件で反復試験を行うためには、動作条件をできるだけ標準化する必要があります。
試験データの記録に手間がかかる
耐久性テストでは、試験回数だけでなく、電流や温度、荷重などを記録する場合があります。
人が操作と測定を同時に行うと、記録作業にも工数がかかります。長時間試験では、測定漏れや記録間違いを防ぐ仕組みも必要です。
ソリューション別に見る耐久性テスト自動化の種類
耐久性テストの自動化には、専用試験機や産業用ロボット、協働ロボットなどが使用されます。適した方法は、試験動作の複雑さや速度、必要な荷重、対象製品の種類によって異なります。
単純な反復動作を高速で行う場合と、人の操作に近い複雑な動きを再現する場合では、適した設備が異なります。ここでは、代表的な自動化ソリューションを紹介します。
専用試験機
専用試験機は、特定の製品や試験内容に合わせて設計する設備です。エアシリンダーやサーボモーターなどを使用し、決められた動作を繰り返します。
例えば、ボタンの押下やレバーの往復など、同じ位置で単純な動作を高速に繰り返す試験に適しています。試験条件が固定されていれば、比較的シンプルな構成で安定した反復動作を行えます。
一方、製品形状や操作位置が変わる場合は、治具や機構の変更が必要です。そのため、多品種への対応や試験内容の変更が多い工程では、柔軟性に制約があります。
産業用ロボット

産業用ロボットは、複数の関節を使ってさまざまな方向から製品へ接近できます。押す、引く、回す、開閉するといった複数の動作を、一台で組み合わせることが可能です。
高速動作や比較的大きな荷重を必要とする試験にも対応しやすく、製品サイズが大きい場合や広い動作範囲が必要な試験にも利用できます。
ただし、ロボットの速度や動作範囲によっては、安全柵やエリアセンサーなどの安全設備が必要です。設備全体の設置スペースも含めて検討する必要があります。
協働ロボット

協働ロボットは、人が行っている操作を再現する耐久性テストに活用しやすい方法です。ボタン操作、ドアの開閉、部品の着脱など、複数の動作を組み合わせた試験にも対応できます。
動作プログラムや先端治具を変更できるため、異なる製品や試験内容へ転用しやすい点も特徴です。研究開発や多品種を扱う試験工程では、こうした柔軟性を活かしやすくなります。
また、ロードセルや電流計、温度センサーなどの測定機器と連携することも可能です。試験動作だけでなく、測定値やサイクル数の記録まで含めて自動化できます。
専用試験機、産業用ロボット、協働ロボットには、それぞれ適した試験があります。試験速度や荷重だけでなく、対象製品の種類や試験内容の変更頻度まで考慮して選定することが重要です。
関連製品 : 協働ロボット製品一覧
耐久性テストを自動化するメリット・デメリット
耐久性テストの自動化には、長時間試験の省人化や試験条件の安定化などのメリットがあります。一方で、すべての試験をロボット化できるわけではなく、周辺設備や治具の管理も必要です。
ここでは、耐久性テストを自動化するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
耐久性テストを自動化するメリット

耐久性テストを自動化する大きなメリットは、長時間にわたる反復作業を作業者から切り離せることです。数百時間に及ぶ試験でも、人が常時操作する必要がなくなります。
実際に、協働ロボットを使用して400時間にわたるライフサイクル試験を自動化した事例もあります。夜間や休日にも試験を継続できれば、試験設備を効率的に稼働させやすくなります。
また、ロボットは設定した位置や軌跡、速度で同じ動作を繰り返せます。手作業で生じやすい押す位置や速度のばらつきを抑え、試験条件を一定に保ちやすくなります。
測定機器と連携すれば、試験動作だけでなくデータ収集も自動化できます。電流、温度、荷重、変位などをサイクル数と関連付けて記録すれば、性能が変化し始めた時期も確認しやすくなります。
さらに、協働ロボットでは動作プログラムや先端治具を変更できます。そのため、一つの専用試験機を作り込む場合と比べて、異なる製品や試験内容へ転用しやすい点もメリットです。
特に、製品形状や試験条件が頻繁に変わる研究開発や、多品種を扱う試験工程では、こうした柔軟性を活かしやすくなります。
耐久性テストを自動化するデメリット

耐久性テストの内容によっては、ロボットより専用試験機が適している場合があります。
例えば、一方向の動作を高速で数百万回繰り返す試験では、専用機のほうが設備を簡素化できます。大きな荷重を繰り返し与える疲労試験でも、専用の材料試験機が適している場合があります。
また、ロボットを導入するだけで耐久性テストを自動化できるわけではありません。製品を固定する治具や先端ツールに加え、試験内容に応じてロードセル、電流計、温度センサーなどが必要です。
測定結果を自動で保存する場合は、PLCやPC、データ収集ソフトとの連携も検討します。そのため、設備全体の構成によっては導入費用やシステム構築の工数が大きくなります。
長期間の反復試験では、治具やロボットの先端ツール自体が摩耗する点にも注意が必要です。接触部分が摩耗すると、押付位置や力が変化し、試験途中から条件が変わる可能性があります。
そのため、自動化を検討する際は、必要な荷重や速度、試験回数を整理することが重要です。あわせて、治具や接触部品の点検周期、交換基準まで決めておく必要があります。
耐久性テストの自動化で失敗しないためのポイント

耐久性テストを自動化する際は、最初に「何を確認する試験なのか」を明確にすることが重要です。
単にロボットへ動作を繰り返させるだけでは、適切な耐久性テストにはなりません。試験回数や時間、押付力、速度など、実際の使用条件を整理します。
また、測定する項目も事前に決めておきます。試験終了時に壊れているかだけを確認するのか、途中の電流や荷重、変位まで記録するのかによって設備構成が変わります。
ロボットを選定する場合は、可搬重量だけでなくリーチや動作速度、必要な押付力も確認します。力を伴う試験では、ロボットと力覚センサーやロードセルの組み合わせも検討します。
異常発生時の対応も重要です。製品が途中で破損した場合にロボットを停止するのか、異常品を検出して試験を終了するのかを決めておきます。
導入前には、実際の製品を使ったテストを行います。動作を再現できるかだけでなく、長時間繰り返した場合でも試験条件を維持できるか確認することが重要です。
耐久性テストに関するよくある質問

Q1. 耐久性テストとは何ですか?
耐久性テストは、製品や部品に繰り返し動作や負荷を与え、長期間使用した際の性能や状態を確認する試験です。
ボタンの押下、ドアの開閉、コネクタの挿抜、モーターの連続運転など、対象製品に応じて試験方法を決めます。
Q2. 耐久性テストは何回行えばよいですか?
必要な試験回数は、製品や用途によって異なります。すべての製品に共通する試験回数はありません。
実際の使用頻度や想定寿命、製品仕様、関連規格などから試験条件を決めます。回数だけでなく、荷重、速度、保持時間なども確認する必要があります。
Q3. 耐久性テストでは何を測定しますか?
測定項目は試験の目的によって異なります。代表的な項目には、動作回数、荷重、操作力、変位、電流、温度、振動などがあります。
試験終了後だけでなく、途中の測定結果を記録することで、劣化が始まった時期を把握しやすくなります。
Q4. 耐久性テストは自動化できますか?
反復動作を伴う耐久性テストは、自動化できます。
エアシリンダーやサーボモーターを使った専用機のほか、産業用ロボットや協働ロボットも利用できます。Universal Robotsでは、食器洗浄機の耐久試験や400時間のライフサイクル試験への活用事例が公開されています。
Q5. 協働ロボットはどのような耐久性テストに向いていますか?
ボタン操作、スイッチ操作、ドア開閉、レバー操作、挿抜など、人が行う操作を繰り返す試験に適しています。
特に、複数の動作を組み合わせる場合や、製品ごとに試験内容が変わる場合は、ロボットの柔軟性を活かしやすくなります。
一方、高速な単純動作を大量に繰り返す場合は、専用試験機が適していることもあります。
Q6. 耐久性テストを協働ロボットで無人化できますか?
試験条件によっては、長時間の自動運転が可能です。ただし、協働ロボットを導入するだけで完全に無人化できるわけではありません。
製品破損の検知や異常停止、測定データの保存なども必要です。治具やツールの摩耗も考慮し、試験システム全体で運用方法を設計します。
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耐久性テストの自動化では、ロボット本体だけでなく、試験方法に適した治具や測定機器を選定する必要があります。
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