国際輸送とは?海上・航空・陸上輸送の違い、貨物ハブ・複合輸送の仕組みを解説

国際輸送とは?海上・航空・陸上輸送の違い、貨物ハブ・複合輸送の仕組みを解説

お役立ち情報 2026.08.20

海外へ製品や原材料を運ぶ国際物流では、船舶、航空機、鉄道、トラックなど、さまざまな輸送手段が利用されています。

しかし、国際輸送は単に海外へ貨物を運ぶだけではありません。実際には、港湾や空港などの貨物ハブを経由しながら複数の輸送手段を組み合わせ、通関や荷役、積み替えを行って最終目的地まで貨物を届けます。

近年では、コンテナやパレットを活用した複合一貫輸送や物流資材の標準化、貨物追跡システムなど、グローバル・サプライチェーンをシームレスにつなぐ仕組みも重要になっています。

本記事では、国際輸送とは何かを解説します。あわせて、海上輸送・航空輸送・陸上輸送の違い、貨物ハブ、複合輸送、複合一貫輸送、ユニットロードシステムについて分かりやすく紹介します。

国際輸送とは

国際輸送とは

国際輸送とは、国境を越えて貨物を輸送することです。代表的な輸送手段には、海上輸送、航空輸送、陸上輸送があります。海上輸送では船舶、航空輸送では航空機、陸上輸送ではトラックや鉄道などを利用します。

ただし、実際の国際物流では、一つの輸送手段だけで出発地から目的地まで運べるとは限りません。例えば、日本国内の工場から東南アジアの内陸部へ製品を輸送する場合、まず工場から国内の港までトラックで運びます。その後、港から海外の港までは船舶を利用し、到着地から最終目的地までは鉄道やトラックで輸送します。

このように、国際輸送では複数の輸送手段や物流拠点をつなぎながら貨物を移動させます。そのため、輸送時間や運賃だけでなく、積み替えの回数、港湾や空港の位置、通関、荷役なども含めて考える必要があります。

数字で見る国際輸送の現状(2026年度現在)

数字で見る国際輸送の現状(2026年度現在)

現在の国際輸送では、海上輸送が中心的な役割を担っています。UNCTADによると、世界で取引される貨物の80%以上が海上輸送によって運ばれています。

世界のコンテナ港湾取扱量は、2023年に約8億5,820万TEUでした。10年前と比べると約2億1,700万TEU増えており、世界の物流量は長期的に拡大しています。

航空貨物も増加しています。IATAによると、2025年の世界の航空貨物需要は前年比3.4%増となりました。特にアジア太平洋地域では8.4%増と、高い伸びを記録しています。

一方で、国際輸送は地政学リスクの影響を受けやすくなっています。2024年には紅海情勢によってスエズ運河を通る貿易量が前年同期比で約50%減少し、アジア―欧州間の輸送時間が10日以上延びるケースも発生しました。

このように、国際輸送は世界の貿易拡大を支える一方、輸送ルートや運賃、リードタイムが大きく変動する状況が続いています。

国際輸送を支える貨物ハブ

国際物流において国際輸送を支える貨物ハブ

国際輸送では、すべての地域を直接結ぶとは限りません。一度、特定の港湾や空港へ貨物を集め、そこから複数の目的地へ振り分ける方法があります。このような中継拠点が「ハブ」です。

ハブを中心に貨物を集約・分散させる仕組みを、貨物ハブネットワークと呼びます。例えば、複数の地域から集めた貨物を一つの空港へ運び、そこで行き先ごとに積み替えます。その後、各都市へ向かう便に載せ替えて配送します。

すべての都市間に個別の輸送ルートを設けるのではなく、ハブを中心に輸送網を構築することで、貨物をまとめやすくなります。航空貨物だけでなく、港湾を中心とした海上輸送でも同じ考え方が使われます。

トランシップ型とベースカーゴ型

ハブ港の形成方法には、「トランシップ型」と「ベースカーゴ型」という考え方があります。

トランシップとは、貨物を途中の港で別の船舶などへ積み替えることです。トランシップ型では、近隣の港から貨物をハブ港へ集め、そこで別の航路へ積み替えることでハブ機能を形成します。

一方、ベースカーゴ型では、港の背後地域で発生する貨物や、その地域へ到着する貨物そのものが一定量存在します。つまり、周辺地域の貨物需要を基盤としてハブ機能を形成する考え方です。

どちらの場合も、十分な貨物量を確保し、各地域との間に高頻度の輸送ルートを構築できるかが重要になります。

貨物ハブを利用するメリット

国際輸送(国際物流)において貨物ハブを利用するメリット

貨物を一つの拠点へ集約すると、同じ方向へ向かう貨物をまとめやすくなります。その結果、航空機や船舶の積載率を高められる場合があります。

例えば、各地域から少量ずつ個別に輸送するよりも、一度ハブへ集約してからまとめて輸送した方が、輸送スペースを効率的に利用しやすくなります。また、ハブと各都市を高頻度で結ぶことができれば、貨物を短い間隔で送り出すことも可能です。

沖縄を貨物ハブとして利用する航空貨物輸送の例では、各地から夜間に貨物を集め、深夜に積み替えを行い、翌朝に各都市へ配送するネットワークが示されています。ハブを経由しながらも、運航ダイヤを組み合わせることで短時間の輸送を実現する考え方です。

貨物ハブのデメリット

国際輸送(国際物流)において貨物ハブのデメリット

一方で、ハブを経由すれば必ず物流が効率化するわけではありません。ハブでは貨物を降ろし、仕分けし、別の輸送機関へ載せる必要があるため、直行輸送と比べて荷役作業が増えます。

また、多くの貨物が一つの拠点へ集中するため、管理負担も大きくなります。貨物量が処理能力を上回れば、ハブ内で混雑が発生し、輸送時間が延びる可能性もあります。

さらに、直行便ではなくハブを経由することで、総輸送距離が長くなる場合があります。その結果、輸送時間や燃料コストが増えることもあります。

そのため、貨物ハブネットワークでは、貨物量、輸送頻度、積み替え時間、処理能力などを含めて設計することが重要です。

複合輸送とは

国際物流では、複数の輸送機関を組み合わせる「複合輸送」が利用されています。複合輸送とは、船舶、鉄道、トラック、航空機など、複数の輸送手段を使って貨物を運ぶことです。

例えば、日本から中国の内陸部へ輸送する場合、日本から中国の港までは船舶を使い、その後は鉄道やトラックへ切り替えます。日本から韓国へ輸送する場合も、海上輸送と陸上輸送を組み合わせる方法があります。

国際輸送では、海を越える区間と内陸を移動する区間があるため、複数の輸送手段を組み合わせることが自然です。重要なのは、個々の輸送手段だけを見るのではなく、出発地から最終目的地までを一つの輸送ルートとして考えることです。

海上輸送・陸上輸送・航空輸送の違い

輸送手段によって、輸送時間と運賃は大きく異なります。ハノイからバンコクまで輸送する場合の例では、海上輸送、陸上輸送、航空輸送に次のような違いがあります。

輸送手段輸送時間運賃
海上輸送約10日間1.0
陸上輸送約3日間約1.4
航空輸送約2日間約3.0

※運賃は海上輸送を1.0とした場合の比較です。

海上輸送は、3つの方法の中では輸送時間が長い一方、運賃を抑えやすい方法です。航空輸送は約2日間と短時間で輸送できますが、運賃は海上輸送の約3倍になります。

陸上輸送は約3日間、運賃は海上輸送の約1.4倍です。この例では、輸送時間とコストの両面で、海上輸送と航空輸送の中間に位置します。

つまり、輸送方法には「速ければよい」「安ければよい」という単純な答えはありません。納期、貨物の性質、輸送距離、物流コストなどに応じて使い分ける必要があります。

複合一貫輸送とは

複合輸送をさらに効率化する考え方が「複合一貫輸送」です。

そのため、複合一貫輸送では、複数の輸送機関を利用しながら、コンテナやパレットなどの輸送単位を維持した状態で輸送します。例えば、貨物をコンテナへ積み込み、そのコンテナをトラックで港まで運びます。

港では貨物を一つずつ積み替えるのではなく、コンテナ単位で船舶へ積み込みます。到着地でも、コンテナのまま鉄道やトラックへ載せ替えることができます。

つまり、輸送手段は変わっても、貨物をまとめている単位は維持します。これにより、輸送機関が変わるたびに貨物を積み直す必要がなくなり、荷役作業を効率化しやすくなります。

複合一貫輸送を支えるユニットロードシステム

複合一貫輸送を支える考え方の一つが「ユニットロードシステム」です。

ユニットロードシステムとは、さまざまな形状の貨物をコンテナやパレットなどへ積み付け、一つの輸送単位としてまとめることです。輸送だけでなく、保管や荷役を効率的に行うことも目的としています。

代表的な物流資材には、平パレット、ボックスパレット、ロールボックスパレット、プラスチックコンテナなどがあります。

平パレット

平パレットは、平らな荷台の上へ貨物を積み付ける物流資材です。フォークリフトなどを使い、複数の貨物をまとめて移動できます。

ボックスパレット

ボックスパレットは、パレットの周囲を囲った構造を持つ物流資材です。平パレットでは保持しにくい貨物をまとめて扱いやすくなります。

カゴ台車(ロールボックスパレット)

ロールボックスパレットは、キャスターを備えたカゴ状の物流資材です。貨物を載せた状態で、そのまま人が押して移動できます。

折り畳みコンテナ(プラスチックコンテナ)

プラスチックコンテナは、部品や製品などを収納して運搬する容器です。貨物の大きさや扱い方をそろえやすく、輸送や保管の標準化に利用できます。

なぜ物流資材の標準化が重要なのか

なぜ物流資材の標準化が重要なのか

国際物流では、輸送の途中で多くの事業者や設備を経由します。トラックから船舶へ、船舶から鉄道へ、さらに倉庫や工場へと貨物が移動します。

そのたびに貨物の扱い方が異なると、積み替えや荷役に多くの作業が必要になります。そこで、コンテナやパレットなどの物流資材を一定の規格にそろえます。

輸送単位を標準化すれば、輸送機関が変わっても同じ単位で貨物を扱いやすくなります。これは、国際物流における「継ぎ目」を減らすことにつながります。

グローバル・サプライチェーンのシームレス化

国際物流では、国境や輸送機関が変わるたびに、さまざまな手続きや作業が発生します。こうした継ぎ目をできるだけ減らし、貨物を円滑に流す考え方が「シームレス化」です。

シームレスとは「継ぎ目がない」という意味です。国際物流では、国や地域の境界を越える際や、輸送機関を切り替える際に発生する障害を少なくすることを指します。

グローバル・サプライチェーンをシームレス化する取り組みとして、ユニットロードシステムの導入と物流資材の標準化、通関制度の効率化、貨物追跡システムの導入、貿易決済システムの導入などがあります。

ここで重要なのは、シームレス化が単なる輸送時間の短縮ではないことです。貨物そのものの移動だけでなく、通関、情報、決済まで含めて流れをつなぐ必要があります。

貨物追跡も国際物流では重要になる

国際輸送では、貨物が複数の国や輸送機関を経由します。そのため、現在どこに貨物があるのかを把握することが重要です。

貨物追跡システムを導入すれば、輸送途中の貨物の位置や状況を確認しやすくなります。輸送期間が長く、複数の拠点を経由するグローバル物流ほど、情報をつなぐ仕組みの重要性は高まります。

物流資材によって「モノの流れ」を標準化し、追跡システムによって「情報の流れ」をつなぐことが、シームレスな物流につながります。

国際輸送では物流全体を見ることが重要

国際輸送では、船舶、航空機、鉄道、トラックなど、さまざまな輸送手段が利用されています。しかし、重要なのは、それぞれの輸送手段を単独で比較することではありません。

貨物をどこへ集約するのか、どこで積み替えるのか、どの輸送手段を組み合わせるのかまで含めて考える必要があります。さらに、コンテナやパレットによるユニットロード化、物流資材の標準化、通関、貨物追跡なども、国際物流を円滑にする重要な要素です。

グローバル・サプライチェーンまで視野を広げれば、市場、コスト、リスク、インフラについても検討しなければなりません。

国際輸送とは、単に海外へ貨物を運ぶことではありません。複数の輸送機関、物流拠点、荷役、物流資材、情報、制度をつなぎ、出発地から最終目的地まで貨物を円滑に動かす仕組みを構築することが重要です。

国際輸送に関するよくある質問

国際輸送に関するよくある質問

Q1. 国際輸送とは何ですか?

国際輸送とは、国境を越えて貨物を運ぶことです。主な方法には、海上輸送、航空輸送、陸上輸送があります。

実際の物流では、一つの輸送手段だけを使うとは限りません。船舶や航空機、鉄道、トラックなどを組み合わせて、目的地まで貨物を運びます。

そのため、輸送手段だけでなく、積み替えや通関、荷役、物流拠点まで含めて考えることが重要です。

Q2. 貨物ハブとは何ですか?

貨物ハブとは、複数の地域から貨物を集め、行き先ごとに振り分ける中継拠点です。空港や港湾などがハブとして利用されます。

貨物を一か所に集約することで、同じ方向へ向かう荷物をまとめやすくなります。その結果、輸送機関の積載率を高められる場合があります。

一方で、ハブでは貨物の積み替えや仕分けが必要です。多くの貨物が集中するため、拠点内の管理や処理能力も重要になります。

Q3. 複合輸送と複合一貫輸送の違いは何ですか?

複合輸送とは、船舶、鉄道、トラック、航空機など、複数の輸送手段を組み合わせて貨物を運ぶ方法です。

一方、複合一貫輸送では、輸送手段が変わっても、コンテナやパレットなどの輸送単位を維持して運びます。

貨物を一つずつ積み直す作業を減らせるため、積み替え時の荷役を効率化しやすい点が特徴です。

Q4. 海上輸送・陸上輸送・航空輸送はどのように使い分けますか?

輸送時間や運賃、納期、貨物の性質などを考慮して使い分けます。

ハノイからバンコクまでの例では、海上輸送は約10日、陸上輸送は約3日です。航空輸送は約2日と、最も短い輸送時間になっています。

一方、海上輸送の運賃を1.0とすると、陸上輸送は約1.4、航空輸送は約3.0です。

この例では、コストを重視する場合は海上輸送が有利です。納期を優先する場合は航空輸送、時間とコストのバランスを取る場合は陸上輸送が選択肢になります。

Q5. グローバル・サプライチェーンを構築する際は何を検討しますか?

主な検討項目は、「市場」「コスト」「リスク」「インフラ」です。

市場では、進出先の需要だけでなく、そこから別の国へ輸出する場合も考えます。コストについては、輸送費だけで判断するのではありません。立地費用や生産費用、保管、包装、荷役なども含めて検討します。

さらに、戦争や紛争、為替変動、盗難、事故、災害などのリスクも考慮します。道路や港湾などの施設に加え、人材、情報技術、法制度といったインフラも重要です。

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