フェイルセーフとは?|定義・重要性・自動化設備での具体例を徹底解説

フェイルセーフとは?|定義・重要性・自動化設備での具体例を徹底解説

お役立ち情報 2026.07.28

フェイルセーフ(fail-safe)とは、機械やシステムに故障や異常が発生した際、危険を拡大させず、安全な状態へ移行させる考え方です。日本語では「フェールセーフ」と呼ばれる場合もあります。

フェイルセーフとは

安全な状態は、必ずしも停止とは限りません。用途に応じて、停止、減速、出力制限、警報、予備装置への切り替えなどを行います。

例えば、ロボットでは人の接近時に停止や減速を行います。一方、医療機器では、停止よりも必要な機能の継続が安全につながる場合があります。

そのため、想定される故障や危険を洗い出し、異常時にどの状態へ移行させるかを事前に定めることが重要です。

フェイルセーフとフールプルーフの違い

フェイルセーフとフールプルーフの違い

混同されやすい言葉に「フールプルーフ」があります。フェイルセーフは、機械や部品、制御装置などの故障を想定した安全対策です。一方、フールプルーフは、人が誤操作しても危険な動作が起きないようにする考え方です。

実際の設備では、機器の故障と人の誤操作の両方が起こり得ます。そのため、二つの考え方を組み合わせることが重要です。

フェイルセーフはなぜ重要なのか

機械や設備を長期間使用すると、部品の摩耗や配線の劣化が進みます。また、停電、通信障害、ソフトウェアの不具合なども起こり得ます。

故障を完全になくすことは困難です。そのため、故障が起きても人や設備への被害を抑えられる設計が必要です。

人身事故、二次災害の防止

フェイルセーフの重要性(人身事故・二次災害)

機械の故障や誤作動は、人身事故につながる可能性があります。具体例として、暴走、落下、挟まれ、巻き込まれ、感電などが挙げられます。

昇降装置への電力供給が失われた際、荷物や機構がそのまま落下すると、周囲の作業者に重大な危険が及びます。電源が切れたときにブレーキが作動する構造であれば、落下による被害を抑えられます。

また、故障による影響は、機械の周辺へ広がる場合があります。配線の異常による漏電や火災、配管の破損による液体やガス漏れなどが代表例です。異常を検知して電力や圧力を遮断することで、二次災害の拡大を防ぎます

フェイルセーフで想定する必要があることは、最初に発生する故障だけではありません。そこから連鎖して発生する危険まで想定する必要があります。

設備の損傷を抑える

フェイルセーフによって設備の損傷を抑える

フェイルセーフは、人の安全を守るだけでなく、設備や製品の損傷を抑えるうえでも重要です。

例えば、ロボットの位置情報や周辺センサーに異常が発生したとします。そのまま動作を続けると、治具、搬送装置、工作機械などへ衝突する可能性があります。

異常時に停止や減速へ移行すれば、ハンドや工具の破損、ワークの落下、周辺設備の変形などを抑えられます。また、温度や圧力の異常を検知して設備を停止すれば、機械の重大な故障や不良品の連続生産を防げる場合があります。早い段階で異常を検知することで、復旧に必要な時間や費用も抑えやすくなります。

ただし、フェイルセーフでは設備保護よりも人の安全が優先されます。設備を守るために動作を続け、人への危険を高める設計は適切ではありません。

自動化設備におけるフェイルセーフの具体例

自動化設備では、センサー、制御装置、駆動機器、通信機器など、多くの機器が連携して動作します。そのため、一つの異常が設備全体の予期しない動作につながる可能性があります。

搬送・物流設備におけるフェイルセーフ

搬送・物流設備

コンベア、AGV・AMR、自動倉庫などの搬送設備では、作業者の巻き込まれや挟み込み、搬送物の落下、人や障害物との衝突などが主な危険です。

安全柵の扉が開いた場合や、人の侵入を検知した場合には、設備を減速または停止させます。また、センサーの故障、自己位置の認識異常、通信の切断などを検知した場合にも、安全な状態へ移行させます。

ただし、急停止によって積載物が荷崩れしたり、傾斜コンベヤ上の搬送物が逆走したりする可能性があります。そのため、停止制御に加えて、ブレーキ、逆転防止機構、落下防止機構などを設けることが重要です。

加工・包装設備におけるフェイルセーフ

加工・包装設備

工作機械、加工機、包装機、充填設備では、回転工具やカッターへの接触、可動部への挟み込み、加工物の飛散、液体や粉体の漏れなどが想定されます。

安全カバーや扉が開いた場合には、主軸、カッター、送り機構などの危険な動作を停止させます。また、ワークや容器が正しい位置にない場合や、詰まり、工具の破損、異常振動を検知した場合には、加工や充填を開始しない制御を行います。

高温物や圧縮空気、油圧を扱う設備では、供給を止めるだけでなく、内部に残った熱や圧力を安全に解放する仕組みも必要です。

ロボット分野におけるフェイルセーフ

ロボット分野

産業用ロボットや協働ロボットでは、周辺機器の異常によって、予期しない動作が発生する可能性があります。

そのため、通信の切断やセンサーの故障を検知した場合は、停止、減速、出力制限などによって、人や設備への接触を防ぎます。非常停止装置、安全センサー、電源遮断時に作動するブレーキなども代表的な対策です。

ただし、設備全体の安全が自動的に確保されるわけではありません。ロボットが保持するワーク、グリッパー、工具、周辺設備によって、新たな危険が生じるためです。

例えば、鋭利な工具を取り付ければ切創の危険があります。また、重量物を搬送すれば落下や挟み込みの危険があります。協働ロボットの導入では、速度や力の設定だけでなく、作業者の動線、停止距離、ワークの形状まで含めて評価する必要があります。

各分野でのフェイルセーフの共通項

自動化設備の箇所・用途によって異常時に求められる動作や安全な状態が異なります。一方で、フェイルセーフを実現する方法には、共通する考え方があります。

一つ目は、センサーや監視装置で異常を検知し、安全な状態へ移行させることです。異常時には、停止、減速、警報、出力制限、予備系統への切り替えなどを行います。

二つ目は、電力、空気圧、油圧、熱、重力など、危険につながるエネルギーを遮断または安全に解放することです。ただし、電源を切ることで保持中のワークが落下する場合もあるため、遮断後の状態まで確認する必要があります。

三つ目は、安全機能の冗長化です。センサーや安全回路を複数設け、一つの故障で安全機能を失わない構成にします。ただし、同じ電源や配線を共有すると同時に故障する可能性があるため、構成全体を確認することが重要です。

フェイルセーフに関するQ&A

よくある質問

Q1.フェイルセーフとフェールセーフに違いはありますか

フェイルセーフとフェールセーフは、どちらも英語の「fail-safe」を日本語で表記した言葉です。英語の発音をどのように日本語へ置き換えるかによって、表記が分かれています。

どちらも、故障や異常が発生した際に、危険を抑えられる状態へ移行させる考え方を指します。そのため、資料によって表記が異なっていても、別の安全技術を意味しているわけではありません。

Q2.フェイルセーフとフェイルソフトの違いは何ですか

フェイルセーフは、危険の防止を優先する考え方です。故障時に安全な状態へ移行し、人や設備への被害を抑えます。必要であれば、機械やシステム全体を停止させます。

一方、フェイルソフトは、機能を縮小しながら運転を継続することを重視します。故障した機能や重要度の低い機能を停止し、残された機能で運転を継続します。例えば、複数の装置で処理しているシステムの一部が故障した際、その装置だけを切り離し、全体の処理速度を下げて運転を続ける方法がフェイルソフトに該当します。

Q3.フェイルセーフとフェイルオペレーショナルの違いは何ですか

フェイルセーフは、故障時に停止や機能制限を行い、安全な状態へ移行させる考え方です。

一方、フェイルオペレーショナルは、故障しても予備系統へ切り替え、必要な運転機能を維持する考え方です。医療機器や交通システムなど、停止による影響が大きい設備で用いられます。

両者の違いは、安全のために停止するか、必要な機能を継続するかです。ただし、運転を継続できない場合は、最終的に安全側へ移行させます。

Q4.フェイルセーフを導入すれば事故を完全に防げますか

フェイルセーフを導入しても、事故を完全に防げるとは限りません。

設計時に想定していなかった故障、複数機器の同時故障、安全装置の設定ミス、配線不良、点検不足などによって、安全機能が十分に働かない可能性があります。また、設備の使い方やワークが変更されたことで、新たな危険が生じる場合もあります。

そのため、フェイルセーフだけに頼らず、リスクアセスメント、危険源の除去、安全装置の導入、安全機能の検証などを組み合わせる必要があります。導入後も、定期的な点検、作業者への教育、設備変更時の再評価が欠かせません。

iCOM技研ではフェイルセーフを前提としたシステム提案が可能

iCOM技研では、アーム単体で安全な協働ロボットを中心とした自動化システムのご提案・構築が可能です。侵入防止の安全柵やエリアセンサーを使用することでフェイルセーフ対応済みのシステムを導入いただけます。

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