UPS(無停電電源装置)とは

UPS(無停電電源装置)とは

お役立ち情報 2026.07.31

UPS(無停電電源装置)は、停電や瞬停などの電源トラブルが発生した際に、一時的に電力を供給する装置です。

工場やオフィスでは、短時間の電源異常でも、パソコンやサーバー、PLCなどが停止し、データの消失や生産設備の復旧遅延につながる場合があります。

本記事では、UPSの仕組みや種類、選び方、導入時の注意点について解説します。

UPS(無停電電源装置)とは

UPS(無停電電源装置)とは

UPSとは「Uninterruptible Power Supply」の略称で、日本語では「無停電電源装置」と呼ばれます。停電や電圧異常時に一時的な電力を供給し、機器の継続運転や安全停止に必要な時間を確保します。主に、次のような目的で使用されます。

  • パソコンやサーバーのデータを保存する
  • OSを安全にシャットダウンする
  • PLCや制御機器の異常停止を防ぐ
  • 瞬停による通信機器の再起動を防ぐ
  • 生産設備を安全な状態で停止させる
  • 非常用発電機が始動するまで電力をつなぐ

UPSは、長時間にわたって設備へ電力を供給することよりも、突然の電源停止による損害を抑えるために使用されます。例えば、産業用PCが停電によって強制終了すると、検査結果や生産履歴が破損する可能性があります。一時的に給電できれば、必要なデータを保存してから安全に停止できます。

UPS(無停電電源装置)と非常用発電機の違い

UPS(無停電電源装置)と非常用発電機の違い

UPSと非常用発電機は、どちらも停電対策に使用されます。ただし、給電を開始するまでの時間と、運転できる時間が異なります。

UPSは、電源異常を検知すると、すぐにバッテリーによる給電へ移行します。一方、非常用発電機は、エンジンを始動して出力を安定させるまでに一定の時間が必要です。そのため、データセンターや重要設備では、UPSと非常用発電機を組み合わせる場合があります。停電直後はUPSが給電し、その後、始動した発電機へ電源を切り替えます。

停電直後はUPSが電力をつなぎ、非常用発電機は停電が長引いた場合の電力を供給する設備です。

UPS(無停電電源装置)の仕組み

UPSは商用電源と保護する機器の間に設置し、通常時は給電とバッテリー充電を行います。停電や電圧異常時は、バッテリーに蓄えた電力を接続機器へ供給します。

UPS(無停電電源装置)を構成する主な機器

UPS(無停電電源装置)を構成する主な機器

UPSは、主に次の機器で構成されています。

整流器・充電回路:商用電源から供給される交流電力を直流電力へ変換します。変換した電力は、バッテリーの充電やインバーターへの供給に使用されます。

バッテリー:停電時に使用する電力を蓄える機器です。小型UPSでは、制御弁式鉛蓄電池やリチウムイオンバッテリーなどが使用されています。
バッテリーは消耗品です。使用期間や周囲温度、放電回数によって劣化するため、定期的な点検と交換が必要です。

インバーター:バッテリーから送られる直流電力を、接続機器で使用できる交流電力へ変換します。
常時インバータ給電方式では、通常時もインバーターを通して電力を供給します。入力電源に含まれるノイズや電圧変動の影響を抑え、安定した電力を供給しやすい方式です。

切替スイッチ:商用電源とバッテリーからの給電を切り替えます。
常時商用給電方式やラインインタラクティブ方式では、停電を検知した際に、商用電源からバッテリー運転へ切り替えます。

バイパス回路:UPS内部で異常が発生した場合や、負荷が定格容量を超えた場合に、商用電源から接続機器へ直接給電する回路です。
製品によっては、保守作業中も給電を続けるためのメンテナンスバイパスを備えています。

監視・通信機能:入力電圧、出力電圧、負荷率、バッテリー残量、停電、異常などを監視します。
USB、RS-232C、接点信号、ネットワークカードなどを使用し、パソコンやPLCへ停電を通知できる製品もあります。

通常時の動作

UPS(無停電電源装置)の通常時動作

通常時は、商用電源から接続機器へ電力を供給します。同時に、UPS内部の充電回路を使ってバッテリーを充電します。ただし、電力の供給経路は、UPSの給電方式によって異なります。

  • 常時商用給電方式では、商用電源を基本的にそのまま接続機器へ供給します。電力変換による損失が少なく、比較的低価格で導入できる方式です。
  • ラインインタラクティブ方式では、商用電源を基本としながら、入力電圧が変動した場合にAVRと呼ばれる機能で電圧を調整します。
  • 常時インバータ給電方式では、商用電源を一度直流に変換し、インバーターで交流へ戻してから接続機器へ供給します。通常時から電圧や波形を整えられるため、安定した電源品質が求められる機器に適しています。

停電時の動作

UPS(無停電電源装置)の停電時動作

UPSが停電や電圧異常を検知すると、バッテリーの直流電力をインバーターで交流へ変換し、接続機器への給電を継続します。

常時商用給電方式とラインインタラクティブ方式では切替時に短い瞬断が発生しますが、常時インバータ給電方式は原則無瞬断です。

給電時間には限りがあるため、停電時はデータの保存や設備の安全停止、パソコンのシャットダウンを行えるように設計します。

長時間の給電が必要でない場合は、UPSからの停電信号を受けて、次の処理を行います。

  • 1.稼働中の工程を停止する
  • 2.必要なデータを保存する
  • 3.装置を安全な状態へ移行する
  • 4.パソコンや制御機器を終了する
  • 5.UPSの出力を停止する

UPSだけでなく、停電時の停止手順まで設計することが重要です。

UPS(無停電電源装置)が必要になる代表的な電源トラブル

停電だけでなく、瞬停や電圧低下、電源ノイズなどへの対策にもUPSは使用されます。必要な機能は、発生する電源トラブルによって異なります。

停電

停電

停電とは、商用電源からの電力供給が停止する状態です。落雷、台風、地震、送配電設備の故障、工事中の事故などによって発生します。また、工場内のブレーカー作動や設備故障によって、特定の回路だけ停電する場合もあります。

停電が発生すると、接続されている機器は電力を失い、すぐに停止します。パソコンや産業用PCでは、保存前のデータが失われたり、ファイルやOSが破損したりする可能性があります。PLCや制御機器では、工程途中の状態が失われ、設備の復旧や原点復帰が必要になる場合があります。

UPSを設置すると、停電時にも一定時間の給電が可能です。ただし、停電の復旧まで運転を続けるのか、安全に停止するのかを事前に決める必要があります。

瞬間停電・瞬断

瞬間停電

瞬間停電は、一般的に「瞬時停電」や「瞬停」と呼ばれ、短い時間だけ電力供給が途切れる現象です。送電線への落雷や、電力系統で発生した事故を切り離す動作などによって発生します。

人が照明の変化に気付かないほど短い場合でも、電子機器が停止する可能性があります。例えば、PLCが再起動すると、設備の動作が中断し、通信や入出力の状態が初期化される場合があります。パソコン、サーバー、ネットワーク機器でも、瞬停によって再起動や通信切断が発生することがあります。

UPSは、このような短時間の電源停止に対して有効です。ただし、常時商用給電方式やラインインタラクティブ方式では、バッテリー運転への切替時に短い瞬断が発生します。

瞬時電圧低下

瞬時電圧低下

瞬時電圧低下とは、短い時間だけ電圧が低下する現象です。「電圧ディップ」や「瞬低」と呼ばれる場合もあります。落雷や送電設備の事故だけでなく、工場内で大型モーターや大容量設備を起動した際にも発生する可能性があります。

完全な停電ではないため、照明が一瞬暗くなる程度で終わる場合があります。しかし、電子機器では、入力電圧が動作範囲を下回ると停止や誤動作につながります。

例えば、次のような問題が起こる可能性があります。

  • PLCや産業用PCが再起動する
  • センサーや通信機器が一時停止する
  • 電磁接触器が開放される
  • 生産設備が非常停止する
  • 検査データや通信データが欠損する

ラインインタラクティブ方式では、一定範囲の電圧変動をAVRで補正できます。補正範囲を超えた場合は、バッテリー運転へ切り替えます。

電圧変動・電源ノイズ

UPS 電圧変動・電源ノイズ

商用電源の電圧は常に一定とは限りません。設備の稼働状況や電源系統の状態によって、電圧が上昇または低下する場合があります。また、インバーター、モーター、溶接機などが稼働する工場では、電源ラインへノイズが入り込むことがあります。電圧変動や電源ノイズは、次のような問題につながる可能性があります。

  • 計測値が不安定になる
  • 通信エラーが発生する
  • 制御機器が誤動作する
  • パソコンやサーバーが停止する
  • 電源ユニットの負担が増える
  • 電子部品の寿命が短くなる

ただし、すべてのUPSが同じように電圧変動やノイズを補正できるわけではありません。

電源環境が不安定な場所や、電源品質の影響を受けやすい機器では、常時インバータ給電方式が候補になります。

常時商用給電方式では、通常時に商用電源を基本的にそのまま供給します。ラインインタラクティブ方式は電圧を補正し、常時インバータ給電方式は通常時からインバーターを通して安定した電力を供給します。

UPS(無停電電源装置)の種類

UPSの種類

UPSは、通常時と停電時の給電方法によって、主に次の3種類に分けられます。

常時商用給電方式

通常時は商用電源をそのまま機器へ供給し、停電時にバッテリー運転へ切り替える方式です。

低価格で電力損失が少ない一方、切替時に短い瞬断が発生します。パソコンや周辺機器など、瞬断を許容できる機器に適しています。

ラインインタラクティブ方式

通常時は商用電源を使用しながら、AVR機能で電圧変動を補正する方式です。

停電時には短い瞬断が発生しますが、常時商用給電方式より電源を安定させやすく、サーバーやNAS、ネットワーク機器に適しています。

常時インバータ給電方式

通常時からインバーターを通して電力を供給する方式です。

停電時も原則無瞬断で給電でき、電圧変動やノイズの影響も抑えられます。PLC、産業用PC、検査装置など、停止の影響が大きい機器に適しています。

UPS(無停電電源装置)の選び方

導入検討時のポイント
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UPSを選ぶ際は、次の項目を確認します。

  • 保護対象:停電時も給電する機器
  • 定格容量:接続機器のVA・Wと突入電流
  • バックアップ時間:運転継続や安全停止に必要な時間
  • 給電方式:機器が許容できる切替時間
  • 出力条件:電圧、周波数、正弦波への対応
  • 設置環境:周囲温度、粉じん、放熱、交換スペース

まず、停電時に保護する機器を整理します。設備全体ではなく、PLCや産業用PC、通信機器など、安全停止やデータ保存に必要な機器を優先します。

容量は、接続機器のVAとWの合計がUPSの定格を超えないことを確認します。モーターやトランスなどを接続する場合は、定格消費電力だけでなく、起動時の突入電流にも注意してください。

バックアップ時間は、瞬停を乗り越えるのか、データを保存して安全に停止するのかによって異なります。また、瞬断を許容できない機器には常時インバータ給電方式、産業用PCなどには正弦波出力が適しています。

カタログ値だけで判断せず、可能であれば実際の負荷を接続し、停電時の切替やシャットダウンまで導入前に確認してください。

UPS(無停電電源装置)に関するよくある質問

イオナイザー(除電器)に関するよくある質問

Q1.UPS(無停電電源装置)は停電時にどのくらい使用できますか?

使用できる時間は、バッテリー容量と接続機器の消費電力によって異なります。一般的な小型UPSは、長時間運転ではなく、瞬停対策や安全停止に必要な時間を確保する目的で使用されます。

必要な給電時間を決め、メーカーのバックアップ時間表を確認してください。

Q2.UPS(無停電電源装置)の寿命は何年ですか?

寿命は、機種やバッテリーの種類、周囲温度、放電回数によって異なります。

鉛バッテリーでは、25℃環境で5年程度を目安とする製品があります。また、UPS本体のコンデンサーや冷却ファンも劣化するため、バッテリー交換だけでなく本体の更新時期も確認してください。

Q3.UPS(無停電電源装置)にはどのようなメンテナンスが必要ですか?

バッテリーの劣化表示、警告ランプ、負荷率、冷却ファン、吸排気口などを定期的に確認します。

バッテリーの膨張や液漏れ、バックアップ時間の低下にも注意してください。実際の停電時に動作するよう、シャットダウンを含めた定期試験も必要です。

Q4. UPS(無停電電源装置)へ接続してはいけない機器はありますか?

モーター、ヒーター、トランス、レーザープリンターなどは、接続前の確認が必要です。起動時に大きな電流が流れ、UPSが過負荷になる場合があります。

医療機器や人命に関係する装置、回生電力が発生する設備も、一般的なUPSを使用できないことがあります。取扱説明書を確認し、不明な場合はメーカーへ問い合わせてください。

Q5. UPS(無停電電源装置)は安全な装置ですか?

UPSに使用されるリチウムイオン電池は、過充電、過放電、短絡、過熱などによって発火や爆発に至る可能性があります。

ただし、危険性は電池の種類によって異なります。UPSでは、比較的熱安定性の高いリン酸鉄系、三元系、マンガン系などのリチウムイオン電池が採用されています。

発火リスクを抑えるため、指定外バッテリーの使用や分解を避け、メーカーが定める温度、負荷容量、設置間隔、交換時期を守ってください。バッテリーの膨張、異臭、異常な発熱が見られた場合は、使用を中止してメーカーや保守会社への相談をお勧めします。

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