製造現場では、袋詰めや個装が完了した製品を、出荷用の段ボールへ詰める作業が行われます。
箱詰めには、製品を並べる、向きをそろえる、決められた個数を入れるといった複数の動作が必要です。製品を傷つけず、ケース内へ収めることも求められます。
製品の種類や箱詰めパターンが変わる現場では、専用機だけでは対応しにくい場合があります。このような工程で使用されるのが、産業用ロボットや協働ロボットを用いた「ロボットケーサー」です。
本記事では、ケーサーの役割を整理したうえで、ロボットケーサーの仕組み、種類、メリット、選び方を解説します。また、導入前に確認すべき製品や段ボールの条件、ワークテストのポイントも紹介します。
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ケーサーとは

ケーサーとは、包装済みの製品を出荷用の段ボールケースへ自動で詰める装置です。
対象となる製品には、袋、パウチ、ピロー包装品、ボトル、小箱などがあります。これらを決められた個数や向きにそろえ、指定された配列でケース内へ収納します。
例えば、袋入りの菓子を12袋ずつ段ボールへ入れる作業や、飲料ボトルを24本ずつケースへ詰める作業を自動化します。製品そのものを包装するのではなく、個装や内装が完了した製品を、輸送や出荷に使用する外箱へまとめる設備です。
包装ラインでは、製函機で組み立てた空の段ボールへ製品を詰め、その後、封函機へ送ります。つまり、ケーサーが担当するのは、空箱へ製品を入れる箱詰め工程です。
一般的な機械式ケーサーは、ガイドやプッシャーなどの専用機構で製品を投入します。同じ製品を同じ配列で高速に詰める工程に適した方式です。
一方、製品の種類が多い場合や、向きの変更を伴う複雑な箱詰めでは、専用機構だけでは対応しにくいことがあります。このような工程で使用されるのが、箱詰め動作をロボットで行う「ロボットケーサー」です。
ケーサーとカートナーの違い、その他の類似工程

箱詰めに関係する工程には、ケーサーのほかに、カートナー、トレー詰め、番重詰めがあります。いずれも製品を容器へ入れる作業ですが、使用する容器や包装ライン内の役割が異なります。
ケーサー
ケーサーは、包装済みの製品を出荷用の段ボールケースへ詰める設備です。袋、パウチ、ボトル、小箱などを、決められた個数や配列で外箱へ収納します。
一般的には、製函機で組み立てた段ボールへ製品を詰め、箱詰め後のケースを封函機へ送ります。製品を輸送できる状態にまとめる、出荷に近い包装工程です。
カートナー
カートナーは、製品や個包装品を個装箱や中箱へ入れる設備です。医薬品のPTPシートを紙箱へ入れる工程や、個包装された食品を化粧箱へ詰める工程などで使用されます。
ケーサーとの違いは、扱う箱の役割です。カートナーは販売、陳列、保護に使う小さな箱を扱い、ケーサーは複数の製品をまとめて輸送する外箱を扱います。
包装資材の分野では、箱を「カートン」と呼ぶ場合があります。一般的に、カートナーが扱う中箱はインナーカートン、ケーサーが扱う外箱はアウターカートンと呼ばれます。
トレー詰め
トレー詰めは、製品を紙製や樹脂製のトレーへ並べる工程です。クッキーや菓子など、形が崩れやすい製品を保護しながら整列させる用途で使われます。
トレーへ詰めた製品は、その後に袋や個装箱で包装されます。このため、ケーサーよりも前の包装準備工程に位置します。
番重詰め
そもそも、番重詰めは、食品などを番重と呼ばれる浅い容器へ入れる工程です。番重は、製品の保管や搬送に使用する通い箱で、食品工場や店舗間の物流で多く使われます。
段ボールへ詰めるケーサーとは異なり、番重は繰り返し使用します。番重詰めの前後には、空の番重を1段ずつ供給する段ばらしや、製品を入れた番重を積み重ねる段積みが組み合わされます。
ロボットケーサーとは

ロボットケーサーとは、産業用ロボットや協働ロボットを使い、包装済みの製品を段ボールケースやトレーへ詰める設備です。
「ロボット式ケーサー」や「ロボットケースパッカー」と呼ばれる場合もあります。
ロボットの先端に吸着パッドやグリッパを取り付け、コンベヤから供給された製品を持ち上げます。その後、登録した個数、向き、配列に従ってケース内へ収納します。
例えば、次のような箱詰めに使用されます。
- 袋入り食品を複数個まとめて詰める
- パウチを立てた状態で並べる
- ボトルを決められた本数ずつ収納する
- 小箱を複数段に積み重ねる
- 製品の向きを段ごとに変更する
- 異なる製品を決められた位置へ入れる
- 製品の間へ合紙を挿入する
機械式ケーサーは、製品形状や箱詰めパターンに合わせた専用機構を使用します。これに対してロボットケーサーは、動作プログラムやハンドを変更することで、製品や配列の変更へ対応しやすい点が特徴です。
カメラを組み合わせれば、製品の位置や向きがそろっていない場合でも、把持位置を補正できます。そのため、多品種を扱う工程や、複雑な箱詰めが必要な工程で検討されています。
ロボットケーサーの仕組み

ロボットケーサーは、製品の供給、検出、把持、収納、ケース搬出の順に動作します。
一般的な箱詰めの流れは、次のとおりです。
製品を供給する
袋詰めや個装が完了した製品を、上流工程からコンベヤでロボットの作業範囲へ搬送します。
製品を一定の位置へそろえる場合は、ガイド、ストッパー、整列コンベヤなどを使用します。ロボットが安定して製品を取るには、供給量と製品間隔を管理することが重要です。
また、製品の供給が一時的に増える場合は、バッファコンベヤを設けることもあります。
製品の位置や向きを確認する
製品が決められた位置へ供給される場合は、光電センサーなどで到着を確認します。
位置や向きにばらつきがある場合は、カメラで製品を認識します。画像処理によって中心位置や角度を求め、その情報をもとにロボットの把持位置を補正します。
コンベヤを停止せずに製品を取る場合は、コンベヤトラッキングを使用します。コンベヤの移動量を計測し、流れている製品を追従しながら把持する方法です。
カメラは、すべての設備に必要なわけではありません。機械的なガイドで位置を安定させられる場合は、センサーだけで構成した方が簡単で安定することもあります。
製品を把持してケースへ収納する
ロボットは、製品に合ったハンドで製品を把持します。
袋やパウチには真空吸着、ボトルや小箱には挟み込み式のグリッパなどが使われます。複数個を同時に持つ多連ハンドを使用すれば、ロボットの往復回数を減らせます。
把持した製品は、設定された配列に従ってケースへ収納します。製品を回転させる、傾ける、向きを反転させるなどの動作も設定できます。
箱詰め時には、ロボットの動作だけでなく、段ボールの位置と開口状態も重要です。フラップが内側へ倒れていると、製品やハンドが干渉する可能性があります。
箱詰め後のケースを搬出する
設定した個数の製品を詰め終えると、完成したケースを下流工程へ送ります。
箱詰め後は、封函機、ラベラー、ウエイトチェッカー、印字検査装置、パレタイザーなどへ接続できます。
ロボットケーサーは、ロボット本体だけで動作する設備ではありません。製品とケースの搬送、位置決め、把持、検出、制御、安全対策を組み合わせ、一つの箱詰めシステムとして構築します。
ロボットケーサーの主な方式

ロボットケーサーは、製品の供給状態とケースへの入れ方によって、主に次の方式に分けられます。
整列一括把持方式
上流で複数の製品を並べ、ロボットがまとめてケースへ入れる方式です。
1回の動作で複数個を箱詰めできるため、処理能力を高めやすくなります。ボトルや小箱など、形状が一定で整列しやすい製品に適しています。
安定して稼働させるには、把持前に製品の位置と間隔をそろえる必要があります。
個別ピック方式
製品を1個または少数個ずつ把持し、ケース内へ配置する方式です。
袋やパウチのように、向きや間隔が一定になりにくい製品に適しています。カメラを使用すれば、コンベヤ上の製品位置を認識しながら把持できます。
必要な処理能力によっては、複数個を把持するハンドや、複数台のロボットを使用します。
層形成方式
製品を一定の行、列、段にまとめてから、ケースへ収納する方式です。
箱内の配列を整えやすく、決められた向きで密度高く詰めたい工程に向いています。カートン、瓶、缶、小箱などの集合包装で使用されます。
品種ごとに製品寸法や入数が変わる場合は、整列ガイドやストッパーの調整も必要です。
ロボットケーサーに使われるロボットの違い
ロボットは、製品重量、処理能力、必要な姿勢変更、設置スペースから選定します。
| ロボット | 主な特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| パラレルリンクロボット | 軽量製品の高速搬送に向く | 菓子、袋、パウチ、トレー |
| スカラロボット | 水平方向の繰り返し動作が速い | 小箱、容器、浅いケース |
| 6軸多関節ロボット | 向きや投入角度を変更しやすい | ボトル、袋、複雑な箱詰め |
| 協働ロボット | 既存工程へ追加しやすい | 中低速、多品種、後付け設備 |
パラレルリンクロボットによるロボットケーサー例
パラレルリンクロボットは、複数のアームを並列に配置した高速搬送向けのロボットです。形状から「デルタロボット」と呼ばれることもあります。
軽量な製品を短時間でピックし、段ボールやトレーへ並べる作業に適しています。カメラとコンベアトラッキングを組み合わせれば、コンベアを流れる製品を停止させずに把持できます。
主な対象は、袋菓子、パン、冷凍食品、パウチ、個包装品などです。必要な処理能力が高い場合は、複数台のロボットで製品を分担する構成もあります。
一方、可搬重量や上下方向の動作範囲には制限があります。重量物、深いケースへの投入、製品を大きく傾ける箱詰めには向かない場合があります。
関連製品 : パラレルリンクロボット製品一覧
スカラロボットによるロボットケーサー例
スカラロボットは、水平方向の移動と上下動を高速で繰り返せるロボットです。製品を上から持ち上げ、横へ移動してケースへ入れる作業に適しています。
小箱、容器、トレーなど、形状と供給姿勢が安定した製品の箱詰めで使用されます。構造が比較的コンパクトなため、設置スペースが限られる工程でも検討しやすい方式です。
パラレルリンクロボットより可搬重量を確保しやすく、6軸多関節ロボットより単純な水平搬送を高速化しやすい点が特徴です。
ただし、製品を複雑な角度へ傾ける動作には制約があります。深い段ボールへの投入や、段ごとに向きを大きく変更する箱詰めでは、6軸多関節ロボットの方が適する場合があります。
関連製品 : スカラロボット製品一覧
6軸多関節ロボットによるロボットケーサー例
6軸多関節ロボットは、人の腕に近い構造を持ち、製品の位置と姿勢を柔軟に変更できるロボットです。
製品を回転させる、傾ける、反転させるといった動作に対応しやすく、複雑な箱詰めに適しています。段ごとに製品の向きを変える、合紙を挿入する、深いケースへ製品を入れるといった作業にも使用できます。
主な対象は、ボトル、容器、袋、小箱、工業部品などです。可搬重量と動作範囲に余裕があれば、複数個の一括搬送や、ケースのハンドリングを組み合わせることも可能です。
一方、軽量製品の単純な高速搬送では、パラレルリンクロボットやスカラロボットの方が適する場合があります。必要以上に大型の機種を選ぶと、設備費用や設置面積も増えるため注意が必要です。
関連製品 : 6軸多関節ロボット製品一覧
協働ロボットによるロボットケーサー例
協働ロボットは、人と同じ作業空間で使用することを想定し、力や速度を監視する安全機能を備えたロボットです。多くの機種は、6軸多関節型の構造を採用しています。
既存の手作業工程へ追加しやすく、多品種少量生産や中低速の箱詰めに適しています。例えば、作業者が製品や段ボールを供給し、協働ロボットが箱詰めを担当する運用が考えられます。
設備を比較的コンパクトに構成しやすく、品種変更に合わせて動作プログラムを切り替えられる点も特徴です。一方、高速な連続箱詰めでは、一般的な産業用ロボットより処理能力が低くなる場合があります。
なお、協働ロボットを使用しても、安全柵が必ず不要になるわけではありません。ハンドの形状、把持する製品の重量、動作速度、コンベアとの挟まれなどを含めてリスクアセスメントを行い、必要な安全対策を決定します。
関連製品 : 協働ロボット製品一覧
ロボットケーサー導入で失敗しないためのポイント

ロボットケーサーの導入では、最高速度よりも安定稼働が重要です。
特に確認すべき項目は、次のとおりです。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 製品条件 | 寸法、重量、重心、しわ、膨らみ、表面状態 |
| ケース条件 | 寸法差、フラップの反り、段ボールの剛性 |
| 処理能力 | 製品数、ケース数、1回当たりの把持数 |
| 切替 | レシピ変更、ハンド交換、ガイド調整 |
| 異常復旧 | 取り損ね、製品落下、ケース詰まりへの対応 |
| 衛生・清掃 | 水洗い、食品接触部材、清掃時間 |
| 安全 | 安全柵、センサー、扉、リスクアセスメント |
| 保守 | 消耗品、予備品、点検、メーカーの支援体制 |
最も重要なのは、実際の製品と段ボールを使用したワークテストです。
製品のばらつき、ケースの反り、連続運転時の取り損ね、品種切替時間、異常復旧まで確認したうえで設備仕様を決定します。ロボットの公称速度ではなく、ライン全体の安定性と年間総コストから選定することが重要です。
ロボットケーサーに関するよくある質問

ロボットケーサーとは何ですか
包装済みの製品を、段ボールやトレーなどへ自動で箱詰めするロボットシステムです。
製品の把持、姿勢変更、配列、投入を行い、製函機、封函機、検査装置、パレタイザーとも連携できます。
ロボットケーサーとケースパッカーに違いはありますか?
ケースパッカーは、製品をケースへ詰める設備全般を表す言葉です。
ロボットケーサーは、ケースパッカーの中でも、製品の把持や投入にロボットを使用する設備を指します。
メーカーや業界によって、ロボットケースパッカー、ロボット式ケーサーなど、呼び方が異なる場合があります。
袋やパウチも箱詰めできますか?
袋やパウチも箱詰めできます。
一般的には、真空吸着パッドやスポンジグリッパを使用します。ただし、袋のしわ、通気性、内容物の偏り、表面の粉や水分によって吸着状態が変わります。
実際の製品を使用した把持試験が必要です。
1台で複数種類の製品に対応できますか?
ロボットの動作や箱詰めパターンを製品ごとに登録すれば、複数品種へ対応できます。
製品サイズや形状が大きく異なる場合は、ハンドやガイドの交換が必要です。品種数だけでなく、切り替え頻度と作業時間も確認してください。
カメラは必ず必要ですか?
製品が一定の位置と向きで供給される場合は、カメラを使用しない構成も可能です。
製品の位置や向きが不規則な場合や、複数品種を識別する場合は、画像処理を検討します。カメラを追加すると対応範囲は広がりますが、照明や包装フィルムの反射なども考慮する必要があります。
協働ロボットなら安全柵は不要ですか?
協働ロボットを使用しても、安全柵が不要になるとは限りません。
ロボットの速度、ハンドの形状、製品重量、周辺設備との挟まれなどを含めてリスクアセスメントを行います。
評価結果によっては、安全柵、ライトカーテン、安全スキャナーなどを設置します。
既存の包装ラインへ追加できますか?
設置スペース、製品の排出状態、ライン速度、既存設備の制御方法などの条件が合えば、既存ラインへ追加できます。
ただし、上流と下流の設備を停止させる信号や、製品を一時的にためるバッファが必要になる場合があります。
現地調査を行い、設備間の接続条件、作業者の動線、保守スペースまで確認します。
iCOM技研による導入サポート|ケーサー導入の「壁」を取り除く


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