協働ロボット誕生の背景
まず産業用ロボットの歴史についてですが、1954年にアメリカのジョージ・C・デボル氏がプレイバック・ロボットの概念を現し、特許を出願したのが始まりです。そして後の1962年にユニメーション社が“ユニメート”を、AMF社が“バーサトラン”と言う産業用ロボットをそれぞれ発表し、産業用ロボットが世の中に出回り始めました。1968年には川崎重工がユニメーション社と技術提携して輸入販売を開始、翌年に同社が国産初の産業ロボットの販売を開始し、日本の産業用ロボットの歴史がスタートしました。当時は高度経済成長期で人手不足が社会問題となっており、作業を効率化することで労働力を補う手段として産業用ロボットのニーズが高まっていきました。しかしながら産業用ロボットはコストが高く、単一の作業しか対応できませんでした(正確には、扱いが難しく汎用性を持たせることができなかった)。 また、1981年には国内初の産業用ロボットによる死亡災害が発生したこともあり、安全関係法令の整備が進み安全柵の中で隔離して使用することが義務付けられました。 こうした特性から、従来の産業用ロボットは主に自動車産業などの大規模製造業においてのみ導入が進められ、範囲は極めて限定的でした
現在、少子高齢化に伴う人手不足が深刻な社会問題となっております。 また、情報化社会の進展により消費の多様化・多品種少量生産のニーズが高まっています。このような時代においては、従来の産業用ロボットではなく、労働力の補完や多品種少量生産を実現できる新しいタイプのロボットである“協働ロボット”が求められるようになりました。
協働ロボットの役割
協働ロボットの大きな役割のひとつが、「人手不足の解消」です。社会問題となっている少子高齢化により就労人口は減少の一途をたどり、大企業においても人手不足感が強まっており、その影響を受け中小企業の人材確保がさらに難しくなってきているようです。また人材確保のための賃金上昇が経営を圧迫したり、それ以前の問題として「人がいない」状況も出始めています。製造業における製造現場での人材確保はますます困難となってきており、今後もこの状況が続くことが予想され、抜本的な対策が求められているのです。その意味で、協働ロボットはこれまでロボット化が実現できなかった現場での適用が可能なので、活かし方次第で人材確保の苦労から解放され、経営に専念することができます。
また別の役割として「技能の伝承」があげられます。これまでロボット化ができなかった現場に協働ロボットを導入できるようになったことにより、これまで成しえなかった職人作業有の自動化を数値化し、再現する事が可能になりました。「求人しても人がなかなか応募者が集まらない」「苦労して採用しても長続きしない」「教育してもすぐにやめてしまい人が育たない」こう言った悩みを、協働ロボット導入により解決が可能です。ロボットは黙々と作業をやる続けてくれる力強い社員となるでしょう。